大工合宿開始!材への墨付けを学ぶ(自力建設2026「はじまりの森」)
8月26日(水)、ついに大工合宿がはじまりました。
会場は美濃市にある学校から車で一時間あまり、白川町にある東農ひのき製品流通協同組合の作業所です。合宿と名前がついていますが、今は泊まりではなく通いで行われています。

(天井が高く開放感のある下小屋です)
合宿に向けて、7~8月にかけ、学内の製材棟で今回使用する材木を全部プレーナー掛けし会場に事前搬入していただくとともに、施工するための図面を全て作成・製本して臨みました。材はすべてそろっているか、図面に間違いや矛盾はないか、大工さんの指導についていけるかなどいろいろな不安を抱きながら初日がスタートしました。
まずは自己紹介をしたのち、棟梁の梅田さんから大工さんへ建物・設計の説明を行い、概要を把握していただきました。それから搬入した材を部位ごとに並べて番付をつけました。番付とは具体的にどの部材をどの位置の材にするかを決めること位置だけでなく上下の向きや、どの面が東西南北を向くのかまで完全に具体的に決めて印をつける作業です。建物を南から見たときに正しく読める向きに材に番付の記号を書くルールにより、それらの情報がみんなで共有される仕組みになっています。
記号のつけ方にもルールがあります。設計時に先生に教えていただいたのですが、建築では建物を真上から見たときの材の位置を横軸に「いろはにほへと・・・」、縦軸は漢数字の「一二三・・・」というように付番するのが一般的です。なので材木に書くのは「い一」や「ほ四」などと記載していきます。

(番付の字の向きにも意味があります)
番付にあたって、まず材の元(もと)と末(すえ)について教わりました。木が生えていたときの根本の方を元、先端の方を末と呼びます。材として使うときに生えていたように使うのが基本ということで、柱材の元を下、末を上にします。材面から元と末を見分ける判断目安として、枝の節の年輪がどちらを向いているかということがあります。枝は基本的に上に伸びようとするので、上の方が年輪が密になりがちです。
これらに加えて、建物を建てたときにどの箇所のどの面が目立つ部分なのかをイメージしつつ、一つ一つの材の状態を良く観察して、番付を定めていくことが求められます。この番付に思いのほか時間を要し、初日はほぼこの作業で終わってしまうほどでした。
ようやく番付をつけ終わったら、いよいよ墨付けの作業に入ります。
墨付けの主役となる道具は差し金です。まずは材に対してきっちり直角の線を正しく引くということが重要で、差し金を使った正しい線の引き方を教えていただきました。墨が1ミリずれただけでも接合部がガタガタになって組めなくなってしまうので、差し金の当て方だけでなく、鉛筆の太さや鉛筆の寝かせ方にも細心の注意が必要で、とても気配りを要する作業であることを体感しながら学びました。

(墨付け作業に集中して没頭していると思わず時間を忘れてしまうほどです)
その基本的な技術に加えて、図面の寸法を正しく材に印をつけるために長さを測りつつ、この印が何の位置を表す印なのか、それは図面に照らして正しいのかを確認・理解しながら進めていく必要があります。この作業は学生みんなが四苦八苦しました。それぞれの部材の接合部がちゃんとかみ合うように印をつけなければなりませんが、後から確認してみるとずれているということが頻繁に起こりました。大工さんにご指導いただきながら、何とか墨をつけなおして正しい墨をつけることができました。
墨付けには、線を引く技術に加え、木材の特性を把握しつつ、設計を理解して材に落とし込むという複合的で高いスキルを必要とすることを身体全体で学ぶことができました。図面という紙の上での設計から、具体的な材に転記を行って現実の場に立体的に組み立てていくフェイズへと移っていきます。
木造建築専攻1年 稲垣道生