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2022年11月22日(火)

建築生物学(バウビオロギー)第2回バウビオローゲの集い

週末に「第2回バウビオローゲの集い」をアカデミーの建築生物学の授業とバウビオロギー研究会の共催で開催しました。

バウビオロギーはドイツ発祥の総合学問で、名前の由来はBAU:建築、BIO:生命、LOGIE:学問ということで、建築生物学と訳し人を中心に据えたホリスティックな学問です。

これらの実践者、つまり人に寄りそう住まいや建築を作っている・広めている方をバウビオローゲと呼びます。今回、バウビオローゲの方々が全国から集まりました。

初日は実践者の報告です。

最初に私からmorinosで実践した地域の木材や土を使った心地よい空間づくりについて発表しました。

2人目は、日本電磁波協会の土田さんからバウビオロギーで大切にしている4つの環境要素(空気、温度、湿度、電磁波)の中でも特に対策が遅れている日本の電磁波の状況と対策について。

3人目は、自然の住まい株式会社のマテ―ぺーターさんからはオール木でつくられ、断熱・防火に優れたピュアウッドの取り組みの紹介です。

続けて話題提供をかねた専門家セミナーとして、日本バウビオロギー協会理事で東京都市大学名誉教授の坊垣先生より「ヘルシービルディング術」と題して、シックハウスの問題と対策と現状についての講義です。
当時は命を守るために法改正が行われましたが、現在は健康を守る方向にシフトしてきています。
この中で、健康で安全は建築材料のリストが必要になってきているとの話題提供がありました。

続けて日本バウビオロギー協会代表の石川先生よりバウビオロギーの概念と地域性を活かした建築のあり方の紹介です。ホリスティックな考え方の原点を再確認しました。

2日目は、輪になってバウビオローゲ+学生でディスカッションです。
テーマは「バウビオロギーの住まいの仕様をつくる」です。

1.経済的な判断基準(価格、再利用、再生産可能)
2.使用方法・目的による判断基準(適材適所、耐久性)
3.視覚的・美的判断基準(色彩、テクスチャー、透明性)
4.健康的判断基準(揮発、粉塵、繊維、有毒物質)
5.エコロジカルな判断基準(LCA、廃棄時負荷、生態系)

といったホリスティックな視点を意識しつつ、全国から集まるバウビオローゲの方々の考え方をぶつけ合います。

貝殻を使った左官材や地熱を使って乾燥させた木材など、地域特有の素材や選定理由が出てきてます。
学生からも課題研究で取り組んでいる日射量が限られた地域でバイオマスを併用したオフグリッドの考え方に関して意見を求めたりと活発な意見交換ができました。

最後に、CASBEEのような総合的な評価ができると、イメージや認知もされやすいのではというアイデアも出てきて、次回のバウビオローゲの会のテーマも見えてきました。

同じ方向性を持つ実務者の集まりに、お互いに刺激を受けた2日間でした。

教授 辻充孝

 

※CASBEEの内容は、下記も参考にしてください。

環境性能を総合的に評価するCASBEE ~環境負荷低減の取り組み~(morinos建築秘話43)
CASBEE Sランク~環境品質向上の取り組み~(morinos建築秘話44)
morinosのCASBEE SDGs評価(morinos建築秘話51)