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2021年01月17日(日)

morinosのCASBEE SDGs評価(morinos建築秘話51)

先日、木造建築専攻のSDGsマッピングを紹介しましたが、今回はmorinosの建築におけるSDGsを取り上げてみたいと思います。

SDGsには、カラフルな17のゴール(目標)と169のターゲット(行動目標)、232のインディケーター(評価尺度)があります。

例えば建築に関連の深そうな

GOAL11「住み続けられるまちづくりを」を見てみると、

GOAL11の中に10のターゲット(行動目標)があり、例えば1番目のターゲット11.1は「2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。」となっています。

さらにそのターゲットの達成度を測るための指標として提案されているインディケーター(評価尺度)は11.1.1「スラム、インフォーマルな居住地及び不適切な住宅に居住する都市人口の割合」となっています。(執筆時点では外務省からのこれらの割合のデータ提供はありません。)

確かにSDGsの目指す「地球上の誰一人として取り残さない」という目標に当てはめれば、その通りの内容でもっともなのですが、この枠組みで決められているターゲットとインディケーターは国単位では適切でも個人や企業、具体的な建物の評価には使えません。

※上記の国連が定めたSDGsのゴール、ターゲット、インディケーターは外務省の「JAPAN Action Platform」ページがわかりやすいです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/index.html

そこで、建築のSDGs評価を考えるにあたって、同じ「ものさし」で議論できるように、環境性能の総合評価すステムであるCASBEEにSDGsの理念を反映させた「CASBEE SDGs試行版」(2020年12月公開)ができました。(最終版ではないので、利用者の意見によって今後変化する可能性があります。)

ここでは建築に体現されたSDGs達成に資する各種取組を簡便に自己評価し、関係者に明示するための「建築環境SDGsチェックリスト」があります。

後付けマッピング的としてmorinosのCASBEE SDGs評価を行いました。
CASBEEと連動して自動で評価される部分と、SDGs独自の選択をする必要がある部分とに分かれますが比較的簡便に評価できます。といっても、170項目以上ある取組評価ですので大変です。

これで、morinosのSDGsに対する現状の取り組み度がわかります。

※この評価結果は筆者の辻充孝による自己評価による結果です。

CASBEEは本来、敷地内と敷地外に分けて考え、敷地内の環境品質(Q)をいかに向上するか、敷地外に対する環境負荷(L)をいかに減らせるかを評価するシステムでした。(上図2-1のチャート、横軸が環境負荷、縦軸が環境品質)

そこに、もう一つの軸・社会変革に向けた行動計画であるSDGsを加えることで、立体的に新たな視点を導入しようというものです。

※BEEやライフサイクルCO2などのCASBEE評価については過去のブログを参考にしてください。(バージョンが異なるので、全く同じ結果ではありません。)
環境性能を総合的に評価するCASBEE ~環境負荷低減の取り組み~(morinos建築秘話43)
CASBEE Sランク~環境品質向上の取り組み~(morinos建築秘話44)

今回のSDGsの評価は右中段にある「2-3建築環境SDGsチェックリスト評価結果」です。拡大してみます。

SDGsの総合評価は5段階評価の4です。まずまずの結果。

グラフを見ると、しっかり取り組まれているものと、少し不十分なものが見えてきます。

GOAL7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに(エネルギー)」とGOAL9の「産業と技術革新の基盤をつくろう(イノベーション)」が十分伸びていません。

しっかり取り組んでいたはずなのに・・・。CASBEE SDGsでは、どういった項目で評価しているのか、次回は各GOALに向けた取り組みの達成度について、少し掘り下げて分析してみます。

准教授 辻充孝

morinosのSDGs評価
 
 
今回のSDGsの評価に関しては、morinosのCASBEE評価がベースにありますので、以下の建築秘話も参照してください。
 

※建物の詳しい説明はmorinos建築秘話シリーズをご覧ください。
morinos建築秘話シリーズ