【授業報告】コウヤマキの巨木を授業で活用しました②~授業「年輪年代学」編~
(前回ブログ:https://www.forest.ac.jp/academy-archives/wooden_0526-3/の続きです)
伐られてしまったコウヤマキの巨木ですが・・・
・・・このコウヤマキが重ねてきた年月を鑑みて、これを教材として最も有効に活用するには、年輪の解析を行うのがベストなのでは?・・・と思い、
授業「木材学入門」の中で、このコウヤマキを教材として「年輪年代学(dendrochronology)」の授業を行うこととしました。
「年輪年代学」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、大雑把に言うと「樹木の年輪の年代を測定し、年輪に記録される自然および人間活動の履歴を研究する学問」のことです。
もっとも、私は「年輪年代学」という言葉ぐらいは知ってるな~程度の知識しかありませんでしたので、この分野の専門家である森林総研の平野優先生を講師としてお招きして授業を行いました。


まずは「年輪年代学」の概要について分かりやすく説明してもらいました。
考古学や気候学にも年輪の情報が活用されているそうです。
なお、平野先生は、年輪のデータから「今後の気候変動が樹木の成長にどのような影響を与えるのか」を研究しているとのことです。興味深い・・・


さて、座学の後は、コウヤマキの根元側から円盤を採取し、年輪を観察します。

年輪を数えやすいように表面を整えて・・・
年輪をひたすら数えていきます。


年輪を数えたところ、樹齢は122~125年であることが判明しました。
コウヤマキが生えていた場所と年輪の成長程度から、過去の自然環境の変化に思いを馳せます・・・
平野先生いわく、この地方で採れた年輪のサンプルは伊勢湾台風(1959)の影響がみられることが多いとか・・・

確かに、その翌年からしばらくは(風倒した枝の再生にリソースが割かれるため)肥大成長は鈍化傾向にあるのがわかりました。

授業を終えて・・・
学生からも「木の断面はいっぱい見てきたが、環境を推理するのは初めての経験だった」「材料としてしか見ていなかった木が歴史資料に見れてきた」「木の奥深さを改めて知れた」「全専攻共通の授業でした方がいい」といった感想が聞かれました。私自身も、学生らの傍らで興味深く授業を聴かせてもらいました。
(なお、今回の授業で使用した円盤からサンプルを採取し、森林総研に標本として寄贈させていただきました。)
さて・・・
昨今では地域のシンボルとして長年愛されてきた巨樹・巨木が、危険木等として伐採される例が増えているといいます。
こうした伐採はリスク管理の観点からやむを得ない事情もあるかと思いますが、伐採したとしてもただチップ化するのではなく、このように未来を担う学生たちの糧になってくれれば、幾百年の生命を刻み続けた巨木も多少は報われるかなと思います。
伐採されてしまった巨樹・巨木を教育あるいは研究にどう役立てていくか、今後も試行錯誤をしていきたいと思います(続編も考え中です・・・何かアイデアがある人は教えてください)。
【追記】
現在、この事例のように、止むを得ず伐採されてしまった巨樹・巨木を教育用に引き取るスキームを作れたらなと思っています。伐採されそうな巨樹・巨木に関する情報をお持ちの方は是非ご相談いただければ幸いです。
木造建築専攻・講師 石原 亘