【視察報告】岡山県内の非住宅木造建築を探訪しました
(前回ブログ(銘建工業㈱工場視察)の続きです)
今回の視察では、銘建工業さんが工場の視察に加えて、自社で施工された物件も案内してくださいましたので、その模様の一部お伝えしたいと思います。
<銘建工業本社(真庭市勝山地区)>
まずは、銘建工業さんの本社です。CLTの折半屋根構造が特徴です。さらに、屋根を支える構造もCLTの菱形格子型であり、内外ともに非常に印象に残る意匠となっています。また、室内はスキップフロア形状で、ひとまとまりの開放的な執務空間が広がっており、温熱環境にもしっかり配慮したことから、下階と上階の温度差が2度未満の心地よさも兼ね備えています。
写真1 銘建工業本社 外観(南)
写真2 銘建工業本社 外観(東)
写真3 銘建工業本社 執務空間
写真4 建物解説をする渡部さん
<木テラス(真庭市久世駅前)>
「木テラス」は、真庭市の中心地のひとつである久世駅前にあるCLT工法による公衆トイレ兼休憩スペースです。斜めの大きな仕切り壁が印象的ですが、屋根に目を向けると最大約12m長スパンのCLTの屋根であることにも注目です。さらに、正面の小上がりスペースも、晴れの日は日影になり、雨の日は雨宿りができて、駅で待ち合わせする時に心地よさそうなスペースです。
写真5 木テラス 正面
写真6 長スパンのCLT屋根
<落合総合センター(真庭市落合地区)>
「落合総合センター」は、真庭市の落合地区にある市の総合庁舎です。建物正面最大高さ9m近い180角の製材柱が4本一束になって、整列する様子は圧巻です。かつて、銘建工業さんではこのような長大な製材も行っていました。室内に入ると、外と同じく立派な製材柱と梁による拭き抜けを中心に空間が広がっています。また、バイオマスボイラーによる空調設備も備えており、木質燃料を自給できる真庭市の地の利を生かした施設になっています。
写真7 落合総合センター 外観(正面)
写真8 落合総合センター 内部拭き抜け
<御菓子司 板屋(勝田郡勝央町)>
真庭市から東へ50㎞程にある勝央町の勝間田駅近くにある、「御菓子司 板屋さん」は、従来の和菓子屋さんの想像とは異なるガルバリウム鋼板の洗練された外観ですが、室内に入るとさらに驚きます。白い壁に菱形の梁が頭上に広がり、それを支える柱がV字型という斬新な店内となっています。このような珍しい架構を目の前にすると部材の接合部や施工はどのようにしたのかまじまじと拝見してしまいます。もちろんせっかくなので、お菓子も購入させていただきました。どら焼き、かしわ餅、ボーロどれもお上品な甘さで大変美味しくいただきました。店内にカフェもありますので、建築好きな方もお菓子が好きな方もどちらも満たされますので、勝間田にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
写真9 御菓子司 板屋さん外観
写真10 V字柱の柱脚部
写真11 御菓子司 板屋さん 店内
<岡山駅西口ペデストリアンデッキ>
岡山駅の西口を出ると頭上に広がる集成材の屋根に鋼製のピラーが支えるペデストリアンデッキです。いわゆる“都市木造”が広がる黎明期の建築で、すでに20年近く建っているのですが、濃淡2色の配色がいまだ美しく、山間部が木材の産地であり、沿岸部に鉄鋼業が広がる岡山県の産業を象徴するような、岡山駅の顔にふさわしい歩道となっています。
写真12 岡山駅西口ペデストリアンデッキ
写真13 屋根頭頂部
今回は、ブログでは紹介しきれないくらい他にも多くの場所をご案内していただきました。開発部の渡部さんをはじめ、銘建工業の社員の皆様に心より感謝いたします。
このブログを読んで興味をもった皆様も、ぜひ岡山県へ足を運んでみてください。
木造建築専攻 増岡