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2025年06月30日(月)

【視察報告】銘建工業㈱を視察しました(②集成材工場編)

前回のCLT工場の視察に続き、今回は、銘建工業さんのもう一つの主力製品である集成材の製造工場の視察についてレポートします。

そもそも集成材とは、ひき板(ラミナ)を繊維方向が平行になるように積層接着した建築材料です。通常の丸太から一本の柱や梁を挽いてつくる製材品と比べ、寸法と強度の安定性、断面の大きさの選択肢が広いなどの特徴であり、現代の木造建築物において、住宅から大型建築物まで、幅広く使われている建築部材の一つです。
銘建工業は、この集成材製造においても国内外トップクラスのシェアと製造規模を誇ります。そのため、銘建工業さんは、住宅規模につかう大きさの柱や梁を製造する「小中断面工場」と店舗・事務所・ビルなどの中大規模の建築物に使う柱や梁を製造する「大断面工場」の2つがあります。

<小中断面工場>
まずは、小中断面工場からご紹介します。
こちらの工場は、原材料は北欧産のオウシュウアカマツを中心に、住宅規模サイズの集成材を年間約30万㎥製造しています。ほぼ自動化されたラインで省人化が図られており、ものすごい速度で木材(ラミナ)が流れていくのが印象的でした。
また、最新のグレーディングマシンによる画像解析の様子もご説明いただき、高品質で安定的な製造を日々深化させている様子を感じとりました。

写真1:省人化された製造ライン

写真2:搬出入も自動化されたプレス機

写真3:グレーディングマシンの画像解析の説明

写真4:規模の大きさに圧巻する私たち

 

ここで、少し脱線しますが、こちらの工場には、バイオマス発電プラントが併設されています。工場内で出てくる端材やおがくずを焼却炉で燃焼させ蒸気をつくり、その蒸気でタービンを回して発電をします。生まれた電力は、場内の設備を賄うほか、余った電力は売電しています。今回は、こちらの発電プラントも見学させていただきました。木材を無駄なく使うというエコの観点はもちろんのこと、燃料の必要量を自社内で自給できることが持続的な発電運営ができている良い事例だと感じました。

写真5:バイオマス発電プラント 

写真6:燃料となる端材

写真7:燃料となるおがくず

 

<大断面工場>

続いては、中大規模木造に使われる大断面の集成材工場です。こちらは、小中断面工場とは趣が異なり、人の手が込んだ製造をされています。なぜなら、大断面集成材は、接合部の加工まで自社で行ってから出荷しており、特に中大規模木造では特異的な仕様も多いことから、機械加工が難しいところは、職人の方々による手作業での作り込みが必要となります。また、使用する原材料も北欧産材以外にも国産のスギ・ヒノキ・カラマツも生産量の半数を占めます。これは、中大規模木造では、公共案件を中心に国産材(地域材)の利用が促進されている背景もあるからです。
私たちが視察したときには、高層ビル用の柱の製造もされており、これまでRC造ばかりだった大大型の建築物にも着実に木造が広まりつつあることを感じました。

写真8:大断面集成材の製造ライン

写真9:高層ビル用大断面柱のプレス工程

写真10:職人の方々の手加工場     

写真11:国産材の大断面集成材をじっくり観察

 

大型の木造建築物を見ると、その大きさばかりに目が行ってしまいますが、柱や梁一つ一つが人の手で作り込まれているのを知ると、建物も見方もまた一つ面白くなります。

今回の工場視察はここまでです。次回は、銘建工業が施工された物件を中心に、岡山県内の建物探訪の様子をお伝えします。

 

木造建築専攻 増岡