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2018年09月26日(水)

秘密のおもてなし空間で「木造建築の防火」

日本の防火技術・制度の開発を牽引し、一部からは”木造防火のプリンス”と称される安井昇先生。毎年、アカデミーで「木造建築の防火」の授業を受け持っていただいてます。
いつも気さくで楽しい安井先生から「今年は秘密基地で実習しませんか?」とご提案いただき、今回の授業は「秘密基地」での合宿実習となりました。

秘密のはずの基地ですが、住所入りのパンフレットまで完成しています。パンフの綺麗な写真をみて、期待が高まる一堂。

天気は晴天。現地に到着すると目の前に「焼杉」仕上げの美しい秘密基地が。
安井先生のこだわりが込められた、最高に上質な秘密基地での授業がスタート!
ですので、ここからは写真多めでレポート致します!(全国の建築関係者は垂涎かも。)

安井先生の設計がいいので、外観のプロポーションも綺麗です。

長い間いろんな場所を探して、縁あってこの絶景の敷地を見つけたとのことです。

お隣には「屋根緑化」の倉庫も。「どんぐりが落ちてきたので巨木が立つかも」と安井先生。

CLTの外部利用曝露実験を兼ねた階段!

細い架構が綺麗です。

太陽熱温水器、太陽光発電、受水槽経由での給水でライフラインが絶たれても一時的に「防災拠点」になる設計です。

地下には鉛式蓄電池が。

みんな「わあー……」とひたすら感嘆の声を漏らすのみでした。

漆喰壁に投影して授業開始。木造建築の防火を、この上なくしっかり学びました。

ここからは少し、この建物の美しいディティールワークを紹介します。居心地のいい空間をつくっている「部分」の力です。吹き抜けの上に渡されたウォールナットのカウンター。

桜設計集団なので「ヤマザクラのテーブル」です。

「拭き漆」仕上げの美しさ!

メインのペンダントライトは「ヤコブセンランプ」

キッチンカウンター上のライトは、京都の立花商会から購入。古民家から出てきた照明器具です。

椅子はウェグナーの「PP58」とartekのスツールです。上質!

 

床は無垢の杉板。少しずつ刻まれる傷が、美しい経年変化なのです。

階段はクリ。一段目だけウォールナットにして踏み外さないようにアクセントに。

もっとマニアックで美しい収まりの写真もありますが、このくらいにします。

安井先生は防火の研究の他に、「火育」といって火を体験して知る教育にも力を入れています。
「火育」の実習は、夕食のお米を炊くところから。薪で火を起こして、釜でご飯を炊きます。上手に火加減を調節して美味しく炊けるでしょうか?

「火育」といって火の教育の一環として、釜に直火でお米を炊く実習です。うまくおコゲができました。

授業をしている間に、食事やおもてなしを準備してくれた桜設計集団の加來さん。防火設計の専門家且つ、凄腕料理人です。

すぐ裏で採れた「タマゴタケ」を炒めている安井先生。

夜景も綺麗な秘密基地。

翌日は講義の後「焼杉実習」。こんなに火が出ていても、周囲は熱くならない。それが木の燃え方の秘密であり、木造防火の大事なポイントです。

完成した焼杉板。板の端まで焼くにはコツがいるのです。

炭化した部分を拭き取った状態が綺麗で「今年の自力建設に使う?」人工とスケジュールを検討する牧原棟梁。果たして採用するのでしょうか……。

訪問の「記念植樹」まで企画してくださいました。

上質な空間におもてなしいただき、そこで最先端の講義を受け、絶景の中で安井先生と「火育」の実習。こんなに贅沢な授業あります?

そして、安井先生が私たちに施してくださった「おもてなし」は、建物の設計そのものです。
設計者は自分以外の人が使う建物をつくるのが仕事なので、人を「おもてなし」する気持ちが必要。「八ヶ岳の秘密基地」は安井先生の心意気に満ちた最高の学びの場でした。

安井先生、加來さん、ありがとうございました!

 

木造建築教員:松井匠

 

最後は記念撮影。来年の授業ではアカデミーで「おもてなし」致します!