植物をじっくり観察する「植物観察の基礎」
森林環境教育専攻では、さまざまなシーンで自然科学の知見を活かしてもらえるよう、生物に関する基礎的な事柄を学んでもらっています。「植物観察の基礎」では、身近に暮らす植物に関する疑問に答えるべく、まずはじっくり観察です。

今回の題材は「ホオノキ」。岐阜県民のソウルフード、朴葉寿司や朴葉味噌でお馴染みの、アレです。まずは学内で調達したホオノキの花*を観察してみます。何よりもまず、大きい。花の根本についている葉っぱは1枚で長さが30cm以上ありますから、花だけで小さな子どもの顔面がすっぽり収まりそうです。顔を近づけると甘い、いい匂いがします。たとえは悪いですが、昭和の時代の子供用歯磨き粉の香料の匂いに近いと言ってもいいかもしれません。いわゆる「エステル臭」ですね。果物などでよくみられる匂いです。
(*実習は4/20に行いました)
次に花のパーツを確認です。まともな花であれば、花の中には「萼」「花弁」「雄蕊(おしべ)」「雌蕊(めしべ)」の4種類のパーツがあるはずです。図鑑の記載とにらめっこしながら、それぞれどのパーツにあたるのか確認していきます。手前に3枚並んでいる赤褐色のパーツは花被(花弁と萼が形態で区別できないときこう呼ぶ)のうち、一番外側にあるもので、いわゆる「萼」になります。その外側に並ぶ、中華料理をいただくときに使うレンゲみたいな形をした白いパーツが花被になります(一枚一枚は花被片)。その下にあって学生がピンセットで並べているのが、雄蕊です。1本1本に花粉が放出される溝がついています。雄蕊のついていた跡を見てみると、きれいに螺旋状に並んでいます。


雌蕊はまだ花についたままなので、学生が1つ1つ数を確認しています。いやー、細かいですね。

数えてみたら、雌蕊は321本、雄蕊は116本、花被片は11枚(うち萼片相当3枚)でした。ものすごい数ですね。原始的な花はひとつの花についている雌蕊や雄蕊の本数が多かったとされています。ホオノキを含むモクレン科は、被子植物が出現していわゆる「花」を獲得した初期のグループに含まれるので、なるほどです。雄蕊の付着痕が螺旋状になるのも、葉が雄蕊に変化したため、葉のつきかた(葉序という)を踏襲してそうなっているらしいです。
普段何気なく見ている花にも、いろいろな進化のあれこれが刻まれています。立ち止まってゆっくり観察するには根気と基礎的な知識が必要ですが、色々とわかってくると自然や世界の見え方が変わってくると思います。2年間でじっくり学んで自分ならではの発見をしていってほしいですね。
柳沢 直(森林環境教育専攻教員)