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2018年12月07日(金)

地元の誇りとは何か?と悩んだ『木育カフェ』でした・・・

『木育カフェ』とは、木育+ワールドカフェをヒントに、コミュニケーションを目的とした、手法であります。

2014年に北イタリアのレッジョ・エミリア・アプローチを視察したことにインスピレーションを得て、日本人の「井戸端会議」のような、話半分の情報交換の時間…つまり「〇〇しながら意見交換」をポジティブに捉え直しプログラム化を目指しました。様々なパターンを試しながら実践。本年度は、教員研修等をフィールドとして実施してきました。

「木工講座の実践2」担当 松井 勅尚

 

『木工講座の実践2』という授業として行う木育カフェの3回目を行いました。今回の担当は柴田眞規子さんです。会場となったのは郡上市にある「ひかり保育園」。その他、慈教保育園、幼児教育センターみなみ園から合わせて12名の保育士さんが参加してくださいました。

今回の木育カフェは、すでに始まっている郡上市木育研修の告知が目的の一つです。これは、子どもたち自身に園で使う箸を作ってもらうため、それを年中担任の保育士さんが指導する技術を身につけるための研修です。今回参加された保育士さんの中には、この研修にすでに参加されている方もいました。さらに、山とのつながりの大切さを認識してもらうこと、そして、郡上の子どもたちに、将来、森と木に関わる仕事の担い手となってもらうために何が必要かを考えることを目的として行いました。

 

まず、導入として木育について、また『ぎふ木育30年ビジョン』の下での岐阜県や郡上市としての取り組み、そして、日本の森林率や木材自給率などについてお話させていただきました。すでに木育研修を受けている保育士さんにとっては再確認する時間になったのではないかと思います。また、小学生の90%がいじめを経験しているという話の中では、ちょうどこの日の朝刊に載っていた、2017年度のいじめの件数が41万件だったというニュースも紹介しながら、いじめが深刻な問題になっていることを伝えました。さらに、郡上市の森林率や人口が減少している現状をお話し、郡上市の財産である山を育てていく人財育成が急務であることを伝えました。

その後、テーマに沿ったおしゃべりをしながらのもの作りを行いました。この日のアイテムは郡上市の「市の木」であるカエデの葉の形をしたブローチです。#150と#220のサンドペーパーで磨いて形を整えた後、葉柄としての紐とピンを取り付けて完成させます。

テーマは、まず一つ目が『子どもの頃の憧れの仕事は?』、二つ目が『地元の誇り、大切にしたいものは?』、そして、三つ目が『子どもに託す願いは?』でした。

二つ目の地元の誇りについて、普段あまり考えることがないためか、考え込む姿が見られました。当たり前だからこそ改めて考え直す良い機会になったのではないでしょうか。それを改めて考えた上で、子どもに託す願いに繋がると良いと思いました。

最後に全体の感想を共有しました。

「はじめは面倒くさいという気持ちがあったが、もの作りをしながらのおしゃべりはとても楽しかった」

「いつも一緒に仕事をしている同僚とも普段話さない内容のことを話すことができ、他の人の意見を聞くことで違う視点を持つとことができた」

「単純なペーパーで磨くだけの作業であっても、木目を意識したり香りを感じることができ、木のことを伝えることができるので、子どもたちにもやらせたい」

普段とは違う貴重なコミュニケーションの機会となったのではないかと思います。今回の木育カフェを通して感じたことや気付きが、これからの仕事の中で何らかの形で生きてくると良いなと思います。

 

クリエーター科2年 山路今日子