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2018年04月26日(木)

ドイツ報告第二弾 「ドイツ林業調査」報告

 ドイツ報告第二弾、今夜は林業専攻の池戸先生が、ドイツBW州の森林環境教育現場や製材所、ロッテンブルク大学、急傾斜地の林業現場について報告されました。

 最初に紹介されたのは「マンハイムの教育の森」、ここの果樹園の森トレール入り口には「森がなければ、マンハイムは寂しいところ」と記され、様々な果樹についてセルフガイドで楽しめるようになっている。

 マンハイムの森では解説者がいなくても写真や解説を見ることで森を理解でき、身近な果樹などを解説することで子どもにも親しみやすくなっている。

 

 黒い森と呼ばれるシュバルツ・バルトではキャノピーを散策できる「梢の小道」を見学、ここはスキー場の横にあり、多くの人が「楽しむ」をキーワードに森を堪能している。

 

 ロッテンブルク大学(HFR)の演習林はトウヒ、マツ、モミ、ナラを主体とした7000haの市有林を利用しており、その森林で木材生産も実施している。

 

 伐採業者と市との契約では、木材25ユーロ/m3、総額で10,000ユーロの契約を結ぶ。

 

 

 演習林内では280馬力もあり、2トン引きの大型のスキッダーが集材機械として稼働していた。

 冬場はホイールタイヤにチェーンを巻いて使用していた。

 

 

 集材は長材のままで、19mもある材が道端に搬出され、それを30トントレーラーが積み込んでいく。売り上げ単価はマツは70ユーロ(約9800円)、低質のブナは55ユーロ(約7700円)であった。

 

 

 優良なナラ大径材はm3あたり800~1200ユーロ(約11~16万円)の高額で取引され、ツキ板利用されていた。

 STREIT製材では、直径60cmの原木まで丸鋸で製材していた。この会社では年間35m3も製品生産していた。

 

 フロイデンシュタットのPlenter Wald(複層林)の説明では「複層林とは一つの家屋の下に、大家族がいるもの」と解説されていた。

 

 ハウス・デス・バルデスでは、展示品の中に「河畔林を伐採したら、どうなるのか?」という具合にゲーム感覚で学べるようになっていた。

 

 急傾斜地での集材を見学した現場は、ボーデン湖周辺の森林で林業機械の会社自体が伐採・集材しており、傾斜22~27度の林地で、年間10万m3を生産していた。生産効率は12~13m3/時間と、日本とは比べものにならないほどの生産性であった。

 ドイツと日本を比較すると、国土面積はほぼ同等でありながら、ドイツの森林面積は日本の4割程度、しかし木材生産量はドイツ5000万m3(日本は2714万m3)、生産性はドイツ12m3/時間(日本は10m3/日)、生産コストはドイツ4200円/m3に対し日本は7000円/m3なのだ。

 地形条件、降水量などドイツには日本より有利な項目は多いが、その中で私たちが何を参考とすべきかをしっかり学ぶことの重要性を感じたのです。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。