活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2018年10月24日(水)

『森の生活』代表理事の麻生 翼さんに聞く

 JIRIです。私が担当する「森林文化論」。

 今回は愛知県名古屋市出身で北海道上川郡下川町のNPO法人森の生活代表理事である麻生翼さんにお越し頂き、地域を活かす、森を活かす、人をつなぐ様々なお話を聞きしました。

 

 

 下川町と言えばバイオマスタウン、スマートシティ、FSC、スキージャンプのメッカ、としても有名で、書籍では「北海道田舎移住日記」まどでご存知の方もいるでしょう。

 下川町の面積は64,420ha(東京23区と同じくらい)で森林率90%、人口は3,341人の大きいとは言えない元気な町で、地形は北海道らしく平坦地が多いのですが、住民の多くは中心地に集中して居住しています。

 

 この町も1970年には11,568人もいた人口が2010年には3,775人に減少し、現在に至るのです。日本善行を見てみると森林率が70%を越える自治体は人口が激減している現状がある。多くの自治体では高校生か大学生の段階で地元を去り、戻ってもない現象が起きている。

 しかし下川町では2010年以降、若い人(25歳以上)が増加している。

 

 現在、北海道には169市町村あり、3,747の集落があります。しかし高齢化の波は激しく、65歳以上の人口が50%を越え集落は、平成35年に2,465にもなる予測が見られる。

 

 幸いにも下川町は平成24年に転出者と転入者の数値が均衡し、平成29年には24人の増加に転じた

 

 

 このように町は変革してきた歴史を遡ると、もともとは岐阜県高鷲村と北濃村の方々が下川町に入植し1941年頃には鉱山で栄えます。その後、鉱山が斜陽化する中、下川町は国有林を1,221ha8,800万円で取得し、「林業のまち」で自立しようとした。

 

 しかし翌年の1954年に洞爺丸台風の直撃で、森林が大打撃を受ける。

 ここで下川町の人は困難に立ち向かう開拓者魂(フロンティア・スピリッツ)がすごいと感じるばかり。

 

1956年には下川町が財政再建団体に陥る中、森づくりと六次産業化を突き進む。

 順調そうに見えた森林産業だったが、1983年の湿雪被害で若い小径木カラマツを利用した木炭を思いつき、昔ながらの炭窯でなく、若い人が働ける木炭づくりを実施する。前に進む下川町の人々がすごい。

 

 

 他にも現在評判のトドマツエッセンシャルオイルもある。

 ある時点で下川町の地域エネルギーを試算してみると、石油・石炭に年間74500万円、電気に52200万円を要していた。つまり町外に13億円近いお金が流出していたそうです。これを地域内で回して雇用を増やす目的で木質バイオマスなどを導入し、年間1400万円ほどの利益を得て、その半分は基金として積み立て、残りの半分は子育て支援など未来の世代に使われているそうです。

 

 

 

 下川町は地域内雇用を目指して「森林未来都市構想」を描いており、なんと平成21年に51.6%であった高齢化率が、平成28年には27.6%になったそうです。

 「経済」と「環境」、そして「社会」の3つの価値創造に向けて突き進んでいる下川町。

 

 

 下川町はSDG’s積極的に取り組み、あの有名な枝廣さんをファシリテーターに招いて、町民自身が17の目標に向かってなにをすべきかの基本構想づくりに取り組んだそうです。

 2030年に下川町がありたい姿からバック・キャストしてそれを達成していく。こうしたことが評価されて第一回ジャパンSDG’sアワード総理大臣賞を受賞。

 

 

 下川町での木材流通は約10万m3で、そのうち町内で生産されるのは2割程度、その木材を地域の人たちが加工して稼ぐ。地域の人を最大限に生かす工夫をしている。

 

「森の生活」の前身は「林業移住体験ツアー、フォレスト・コミュニケーション・インしもかわ」に始まり、続いて「さーくる森人類」などなどが発展的に、現在の「森の生活」となった。

 森林環境教育活動するため、上川郡の小学生に森に関するアンケートをとると、41%の子どもが一年間一回も森に行かなかった。そして「森に行くのが年に2回以下の子どもが8割だった」ことにショックを受ける。

 そこで「森林環境教育プログラムLEAF」を導入して、「自ら考え選択できる賢い人を育てることを目的」として活動。

 

 下川町は幼小中高の15年一貫の森林環境教育に取り組んでいる。

 

 

 このLEAFはスウェーデンの85%の学校で実施され、①文化的、②生態的、③経済的、④社会的なことを学べる仕組みとなっています。

 

 他にも以前は、パルプ材としてしか取引されていなかった広葉樹材の加工販売にも力を入れている。広葉樹材を加工販売する上では「木材乾燥」が問題となるため、40℃低温で一ヶ月ようする乾燥処理をし、テーブル天板やその端材も商品化している。

 

 

 そのほか、「森ジャム」という活動もしており、薪販売や木工販売などもしながら地域の人が楽しんで集うイベントも開催。

 2年目には「ジャムはどこで買えるの?」という笑える質問にまじめに応え、オオイタドリのジャムをつくって販売したところバカ売れだったとのこと。なんでも商品化する努力も必要なんだと感じました。

 

 

 森林文化アカデミーで軸足となる技術を身に着け、移住する人も多く、そうした学生には示唆に富むお話をしてくださっと感謝しています。麻生翼さん、北海道からわざわざお越しくださり、誠にありがとう御座いました。

 

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。