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2026年07月14日(火)

里山整備と獣害対策:Cr森林獣害の基礎

森林だけでなく、人々にとってより身近な「里山エリア」での獣害対策を学びました。今回は連携協定を結んでいる美濃加茂市のご協力で視察を行いました。

 

↓ ↓ ↓ 以下は学生からのレポートです

 

森林獣害やその対策について学ぶ「森林獣害の基礎」という授業で、行政や地域の取り組みについて学んできました。この授業ではこれまで加害獣の生態や森林の被害について学び、今回は行政や猟友会の取り組みとして、岐阜県美濃加茂市の事例について学びました。

対応いただいたのは美濃加茂市役所農林課の髙木さん・美濃加茂市猟友会の横家副会長

 

美濃加茂市は岐阜県内でも比較的人工林の面積が少ない一方で、里山が広がる地域です。この里山にイノシシやサル、ニホンジカといった野生動物が現れると、ふもとの田畑では農作物に被害が出ることがあります。近年の人口減少や耕作者の高齢化で山林は荒廃し、ますます人が山に入ることができなくなると、野生動物の住処が増えてしまい、野生動物と人間の生活圏と重なることでますます問題が深刻になります。美濃加茂市の令和7年度の鳥獣被害額は約2,500万円とのことです。被害額を動物別に分析すると、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザルの順に多く、この三種類で全体の76%を占めています。そんな中、美濃加茂市では平成26年に里山千年構想を策定し、里山の整備、里山の活用、里山資源の活用を進めています。

作業道・バッファゾーンを兼ねる鹿柵の設置

里山の整備では、里山の樹木の間伐、放置竹林の伐採と活用、鳥獣被害軽減のためのバッファーゾーン(緩衝地帯)の設定を行っています。放置された竹林や荒廃した山林は動物たちの隠れ場所や移動経路となります。そこで美濃加茂市では補助金を活用してこれらの土地を整備しています。整備後は各地域の方々に維持管理を引き継ぎます。整備することで一時的に獣害は減少しますが、様々な理由で維持管理を行う人がいなくなると、元の状態に戻ってしまうことが課題だそうです。

 

有害鳥獣被害に対する取り組みについては、罠の状況を監視できるICT罠などについて紹介していただきました。ICT罠とは動物が罠に入ると管理者のスマートフォンに情報が送られ、遠隔操作で罠を作動させることができる画期的な装置です。罠の見回りは従来通り必要ですが、狩猟者の負担軽減に役立つ装置だと感じました。

ICT技術を活用した囲い罠

スマホからリアルな情報を得る事が出来ます

近年の獣害の増加傾向を受け、美濃加茂市や猟友会は狩猟免許の取得を後押ししています。これにより狩猟免許所持者は増えてきましたが、狩猟者の中には仕事をしている人もおり、若い世代が狩猟と生活の両立するには課題があることもわかりました。

今回の授業では野生動物の捕獲に使用する箱罠の移設を体験しました。今回移動したイノシシ用の箱罠は100kg以上もあり、大人数で持ち上げる必要があります。この体験からも、獣害対策の大変さを実感できました。

里山の活用・里山資源の活用では、森林組合が開発した竹林整備で出た竹を粉砕し、田のあぜ道に吹き付けて防草するという取り組みを紹介していただきました。廃棄物を活用する取り組みはとても興味深く感じました。

 

他にも、里山の活動紹介としてアカデミーとの連携で始まり、現在は地域の活動に定着しているアベマキ学校机プロジェクト森のようちえんについても紹介していただきました。※アベマキ学校机プロジェクトの初回参加者の1名がその後アカデミーに入学して、現在は地域の森林組合に勤めているそうです。地域材の活用だけでなく人材の循環も生み出している素敵な取り組みだと感じました。

 

今回の授業は、獣害対策を通して里山の景観を維持する取り組みの重要性にとどまらず、人の求心力を地域に向ける取り組みの重要性を感じる授業でもありました。人口減少と高齢化の避けては通れない全国共通の市町村が抱える課題に対して美濃加茂市の取り組む里山千年構想は、風景やその土地の魅力に惹きつけられた関係人口を増やす取り組みでもあり現実的で地に足のついた取り組みであると感じました。

 

報告:横山浩二(森林環境教育専攻)他

 

獣害といっても地域によって生息する加害獣も違い必要な対策も異なります。適切な対策を考えるにはその地域の現状を知り、地域特有のポテンシャルを活かしていく事が必要になります。今後森林をフィールドに活動する学生たちにとって一つの参考になったのではないでしょうか。今回の実習を行うにあたり、ご協力いただきました美濃加茂市農林課里山推進係の皆さま誠にありがとうございました!

編集:新津裕(YUTA)