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2026年07月14日(火)

普通科に新設!伊香高校「森の探究科」を訪問しました

<2026.7.7> 

先週、滋賀県立伊香高等学校の「森の探究科」1,2年生のみなさんが、先日アカデミーに見学に来られました。
その際、エンジニア科2年生・林産業コースの「課題研究」の中間発表も見学してくださいました。ありがとうございました。

【授業報告】林産学課題研究の中間発表を行いました

そんな伊香高校「森の探究科」は、2年前に新設されたコース。
普通科に新たに設置したコースということで、とても興味を持っていました。

なぜ「森」をテーマにしたのか。どんな環境で、どんな学びを始めているのか・・・。
現地をぜひ見てみたいと、林業専攻の新津先生と一緒に訪問させていただきました。

お話を伺ったのは、富山先生、大久保先生、伊藤先生です。

写真右から、富山先生、大久保先生、伊藤先生

現在は長浜市となった木之本に、伊香高校さんはあります。
「北国街道(ほっこくかいどう)」の宿場町で、幅の広い街道の両脇には立派な建物が連なる、風情がある町です。

道幅が広い北国街道沿いの木之本の町並

街道にある木之本地蔵尊。8月の大縁日には約10万人が訪れるとのこと

伊香高校は、創立130年を超える伝統校で、地元には出身者も多く、とても愛されているそうです。
現在の県立学校としての創立には、当時の伊香郡の人々3万人が、出資や土木の奉仕作業を提供したとのことで、地域の方々にとってとても大切な<自分たちの学校>という意識が強くあのではないか、そう感じられました。

長い伝統がある伊香高等学校

伝統ある伊香高校ですが、人口減少と少子化が進む現代の影響は大きく、生徒の確保が課題となっています。
そんな折、より広く生徒を集めるため、県の高等学校魅力化推進事業に採択され、学科の再編成に着手します。
それまでの普通科の特進クラスを、「森の探究科」として2025年に新たにスタートしました

興味深かったのは、学科名を「環境」や「地域創造」などにしなかった理由です。これらは全国で多くの高校が採用されています。
一方で、同様な名称では埋没してしまうのではという懸念のもと、伊香高校ではあえて「森」という言葉に絞り、他校との差別化を狙ったそうです。その狙い通り、イベントや説明会では、多くの親子の問合せを獲得されました。

「森」というと「林業」が想起されますが、「森の探究科」の学びは、林業に限定されません。生徒たちの進学や就職先まで見据えながら、文化や地域づくり、環境、アートなども含めた文理融合型の探究へと広げていることが、とても印象に残りました。

木をつかった工作ではグリーンウッドワークも取り入れている

生徒の入学動機は「木が好きだから」というより、「生物多様性を守りたい」「地域や自然環境に関わる仕事がしたい」という、幅広い志向をもった生徒が集まっているそうです。

伊香高校の先生方のお話では、小・中学校で探究学習やSDGs教育を経験してきた世代ならではの変化なのかもしれないとのことでした。こうしたこどもたちの意識変化に合わせて、高校での教育も少しずつ姿を変え始めていることを感じました。

地元の食と縁が深い「トチノキ」をポットで育てている

教室の黒板には水やりの伝言が

 

今回の視察では、教育内容だけでなく、生徒募集や地域留学、地域住民による下宿運営など、学校づくりそのものについても率直にお話を伺うことができました。 新しい学科をつくることは、カリキュラムを変えるだけではなく、地域との関係や学校の役割そのものを見直していくことでもあるのだと感じます。

学校に隣接する森を地元の方から借りて利用

平で用途が広そうなスギ・ヒノキ林が校舎から直ぐアクセスできる

森林文化アカデミーでは、これからの森林・林業分野を担う人材育成について、常に議論がされています。
今回の視察は、高校教育の取り組みを知るだけではなく、森林文化アカデミーがこれからどのような学びを提供していくべきかを考える、大きなきっかけにもなりそうです。

新設された学科なので、授業内容など情報発信を積極的に行っている

社会や若者の価値観が変化する中で、森林を学ぶ意味もまた変わり始めています。その変化を受け止めながら、森林文化アカデミーらしい教育とは何かを、これからも考えていきます。そして、伊香高校で新しい未来を歩み始めたみなさんが、入学したいと思っていただけるアカデミーになることを、より一層、考えていきたいと思います。

新設された学科に必要な環境をつくっていく”現在進行形”が随所に感じられる

伊香高校のみなさま、ご多忙の中、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

<森林環境教育専攻 教員 小林(こばけん)>