【視察報告】カトー鋸㈱を視察しました
木造建築専攻の畑佐です。
5月15日、名古屋市港区にある「株式会社カトー鋸」を訪問させていただきました。
その内容の一部をご報告します。
カトー鋸さんは現在名古屋市港区において唯一の目立て屋さんとなっており、周辺の製材所10社、製材以外も含めると350社以上の鋸を扱っているとのことで、その規模に驚きました。
工場は8名で運営されており、そのうち7名の方が目立てを担当されています。
若い職人さんが多く、自然と世代交代が進んできたとのことでした。

(工房内の様子)
ご担当いただいたのは、代表取締役の加藤俊幸さんです。
工場内を見学させていただくと、入ってすぐに長さ約15mの巨大な帯鋸の研磨が行われていました。一体どんな製材機で、どんな木材を挽くのか…すごく気になります。

(約15mの巨大帯鋸の研磨の様子)
さまざまな大きさやピッチの帯鋸を、どのように同じ自動研磨機で調整しているのか気になって伺ったところ、研磨機内部のカムの大きさを変えることで角度や送り速度を調整しているのだと教えていただきました。

(研磨機内のカム)
工房内には、これまで見たことのない形状の帯鋸も多く並んでいました。
両端に刃がついた帯鋸や、穿孔帯鋸もありました。

(両刃帯鋸)

(穿孔帯鋸)
ステライト溶着については、自動溶着機も導入しているものの、ステライト棒の消費が激しく、原材料の高騰もあって現在は大きな帯鋸以外は手作業で行うことも多いとのことでした。
これまでの視察でも「職人の手のほうが精度が高い」という声を何度か聞いてきました。
改めて職人技のすごさを感じる一方で、機械の精度向上も重要だと感じました。

(ステライト溶着作業の様子)
目立て歴10年という女性職人の方にもお話を伺いました。
どの工程が難しいのか尋ねたところ、今は「研磨」の工程が一番難しいながらも面白いと話してくれました。
砥石の形を整え、常に同じ形で削れるように調整する作業は、音を頼りに微調整を行うこともあるそうで、まさに職人の世界だと感じました。

(社長自ら、丸ノコの腰入れ検査の様子も見せてくださいました)
カトー鋸さんでは帯鋸だけでなく、丸鋸のメンテナンスも請け負っています。
帯鋸の目立て機は60年以上使われているものもあり、壊れにくく長く使えるそうです。
一方、丸鋸の目立て機はコンピューター制御で便利な反面、壊れやすく機械のメンテナンスに費用がかかるとのことでした。
加藤社長の「丸鋸の目立ては1週間あればできるようになるけれど、帯鋸は10年やってもまだわからない」という言葉がとても印象的でした。
今回の訪問を通して、目立ての世界がいかに職人の技術に支えられているかを改めて実感しました。同時に、業界全体が縮小傾向にある中で、技術継承や機械開発が進まない現状にも課題を感じました。
しかし、カトー鋸さんのように若い職人さんが多く、自然な形で世代継承が進んでいる例を見ることができ、そこに大きなヒントや可能性があるようにも思いました。
またぜひ訪問させていただきたいです。
加藤社長をはじめ、社員の皆さま、お忙しい中丁寧にご対応いただき本当にありがとうございました。
木造建築専攻 畑佐