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2026年08月12日(水)

コミュニケーションとは、何か?(コミュニティ・コミュニケーション・前編)

<2026.6.8 – 6.9> 森林環境教育専攻2年生の授業「コミュニティ・コミュニケーション」を実施しました。

特別講師は、岐阜大学教育学部の板倉憲政(いたくら・のりまさ)准教授。
心理学の専門家である板倉先生といっしょに、コミュニティの背景にある「コミュニケーション」について探ります。

スタートから4年目を迎えたこの授業。板倉先生といっしょに立ち上げ、これからの社会に必要な「コミュニティ」と「コミュニケーション」のあり方を探ってきました。今年は、その解像度を一段上げることができました。

ここで扱う視点は、森林環境教育という専攻の枠を超え、持続可能な社会の実現に向けて「森林文化」からアプローチする、私たち全員に必要な「基盤」なのではないか ー そのことが、少しずつ見えてきたのです。

心理学を専門とする板倉先生

授業は2日間。学生もアカデミー教員も混じり、対話を中心に進みます。

まずはチェックインから。そのとき学生がポツリと言った、「コミュニティとは何ですか?」という素朴な問いから、今年の講義はスタートしました。

「コミュニティとは何か」・・・それを定義しようとする問答の中で、なんとなく捉えていた自分たちの認識が揺さぶられます。

地域? 自治会? 学校? 職場? 趣味の仲間?

参加者同士で議論が熱を帯びる中、板倉先生からはさらに、「家族とは何か」「ペットは家族か」など、あらためて問われると説明が難しい問いが続きます。

そのたびに、自分自身の考えを言語化し、仲間との対話を重ねます。
このプロセスを通して明らかにしたいこと、それは、自分自身が世界をどのようにカタチづくっているのか、ということでした。

授業では講義とともに、対話を生み出すワークが数多く行われました。

例えば、図形を言葉だけで伝えるワークでは、「ちゃんと説明したはずなのに、伝わらない」ことを体験を通して実感します。その体験をもとに、板倉先生は「コミュニケーションとは何か」という本質的な問いを提示します。

講義と体験を重ねる中で、私たちは「コミュニティ」も「コミュニケーション」も、客観的な事実や一つの解釈だけでは定義できそうにない、ということが分かってきます。

では何なのか? そこで板倉先生は、心理学の分野から、私たちの認識を揺さぶるキーワードを次々と示します

 ー 文化人類学者のグレゴリー・ベイトソン
 ー サイバネティクスとフィードバックループ
 ー 円環的な因果関係
 ー 相互拘束
 ー 構成主義

「大学の講義でも、体系的には取り扱わない内容ですね(笑)」と、板倉先生。社会人経験が豊富なアカデミー生との「対話を通した授業」であるからこそ深掘りできる内容を、今回、特別に準備してくださいました。

 

人はどのように世界を認識しているのか?
そして、人と人との関係は、どのようにつくられるのか?

多岐にわたる要素と体験、そのねらいは、「コミュニケーション」について、話し方や伝え方の技術を学ぶことではありません。

私たちが認識している世界が、どのように構成されているのか。それを認知の視点から、一人ひとりがあらためて捉え直すことでした。

そのうえで板倉先生は、こう示しました。

「コミュニケーションとは、情報を伝える行為そのものではなく、互いの関係性が反映された“プロセス”のことです」

 

私たちはこれまで、会話やプレゼンテーションなど、「良いコミュニケーション」を生み出すためのさまざまな技法を、授業で取り扱ってきました。

そこには、「コミュニケーション」という行為があり、それをより良く行うための手法や技法がある、という認識がありました。その認識から、「私は今、コミュニケーションをしている」という認知が生まれます。

しかし板倉先生の指摘は、私たちが「コミュニケーションをしている」と認識する以前から、互いの関係性を形づくっている、その過程そのものが「コミュニケーション」である、ということだったのです。


コミュニケーションはプロセス(課程) である ・・・ この新しい視点をさらに深掘りするため、2日目は、美濃市で活動するコミュニティドクターのお話を聞きます。

(後編に続く)

<森林文化アカデミー 教員 小林謙一(こばけん)>