動物の生態を学ぶ:獣害対策PG
森林文化アカデミーでは、野生動物による被害とその対策について体系的に学ぶ「獣害対策プログラム」を実施しています。
今回は、ニホンジカやイノシシ、ツキノワグマ、ニホンザル、カモシカなど、私たちの身近な森林に生息する大型哺乳類の生態と、野生動物を調べるためのモニタリング方法について学びました。
午前中は、まずそれぞれの動物が「何を食べ、どのように暮らし、どのように増えるのか」という基礎的な生態からスタートしました。
例えばニホンジカは草食性で、植物の葉や茎だけでなく、実生や樹皮なども採食します。そのため、生息密度が高くなると農林業被害だけでなく、森林の下層植生や、そこに生息するほかの生物にも影響が及ぶことがあります。
一方、イノシシは植物だけでなく昆虫やミミズなども利用する雑食性で、繁殖力が高いという特徴があります。 ツキノワグマは冬眠や「着床遅延」という特徴的な繁殖生理をもち、秋の餌資源や冬眠前の栄養状態が繁殖にも関係しています。同じ「野生動物による被害」といっても、動物によって生態は大きく異なります。そのため、被害対策を考えるうえでは、まず対象となる動物について正しく知ることが重要です。
そして、もう一つ重要なのが「そこにどのような動物が、どのくらいいるのか」を知ることです。
野生動物は森林の中で生活しているため、人が直接観察するだけでは、その生息状況を十分に把握することはできません。そこで、糞や痕跡を調べたり、GPSなどを利用して行動を追跡したり、自動撮影カメラを設置したりと、さまざまな方法でモニタリングが行われています。午後は、こうしたモニタリングを実際に体験するため、森林文化アカデミーのフィールドで自動撮影カメラを設置しました。
今回取り組んだのは、全国規模で野生動物をモニタリングする「Snapshot Japan(スナップショットジャパン)」の調査です。まず、自動撮影カメラをどこに、どのような向きで設置するのかを確認します。カメラは、ただ森の中に置けばよいわけではありません。調査地点を決められた方法で選び、カメラの高さや向き、周囲の植生などにも注意しながら設置していきます。

現地で設置方法の最終確認をします、今回は昨年度と同じ画角になるよう枝などを使って微調整をします
説明の後は班に分かれ、実際にアカデミーの演習林と隣接する国有林へ移動しました。それぞれの調査地点で周囲の状況を確認しながら、自分たちでカメラを設置しました。

実際に学生が設置している様子
自動撮影カメラを使うと、人がその場にいなくても、野生動物がカメラの前を通った際にその姿を記録できます。シカやイノシシだけでなく、思いがけない動物が写ることもあります。
今回設置したカメラに、アカデミーの森を利用するどのような動物たちが写るのでしょうか。

昨年度撮影されたイノシシです、他にもニホンジカやニホンザルなどが撮影されました
獣害対策というと、防護柵や捕獲などの「対策」に目が向きがちです。
しかし、その前提となるのは、対象となる動物の生態を理解し、その地域で何が起きているのかを継続的に把握することです。
今回の授業では、教室で野生動物の生態を学び、午後には実際に森へ出てモニタリング調査を行うことで、「知る・調べる」ことから獣害対策を考える一日となりました。
設置したカメラはしばらくの間、森の中で動物たちを記録します。
さて、どんな動物が写っているでしょうか。
カメラを回収する日が楽しみです。
林業専攻 中森