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2026年04月30日(木)

ぶつかり、つながり、チームになる ( アウトドア・チームビルディング )

<2026.4.23–25> クリエーター科1年共通授業「アウトドアチームビルディング」を、2泊3日で実施しました。

この授業は、入学直後のクリエーター科1年生が全員参加。これから2年間を共に過ごす仲間を知り、専攻の垣根を超えて「共に学び合う関係」をつくることを目的としています。

昨年までは1泊2日で実施していましたが、共通科目「セルフデザイン」と統合し、2泊3日に拡張。また森林環境教育専攻の教員2名に加え、木工専攻の前野先生も参加し、より深く関係性を築き合う時間となりました。

 

1日目|名前を呼び合う、互いを知る

主担当の谷口ごろー先生の発声で、長いようで短い3日間がいよいよスタート。

美濃の花みこしの掛け声「オイサー」と叫びながら、力を合わせて丸太運び。


そして、焚き火を囲んで自己紹介を行います。

「ネームトス」では、名前と一緒に個性が飛び交い、場が一気にやわらぎました。

午後は、身体を使ったチームワークのワーク。

「ヘリウムリング」

「ミラーストレッチ」

「背中にタッチ」

「オールアボード」

ゴジラ(ごろーさん)から椅子を守る「椅子取り」

協力しているつもりでも、なぜかうまくいかない。
そのズレに悩みながら、笑いながら、少しずつ距離が縮まっていきます。

こうして1日目が終了。アカデミーにあるコテージの部屋割りをし、食事チームを自分たちで決め、買い出しへ。そして食事づくりに。ーー ここから生活も「共同」になります。


2日目|自分に向き合う、本音で話す

2日目は早朝登山でスタート。朝4時に出発し、闇の森を歩き、夜から昼へと森の時間が移り変わるのを体感します。毎日山に登っている林業専攻2年生の毛利さん(やまちゃん)も一緒に登ってくれました。

午前は、小林(こばけん)による「セルフデザイン」。

まずはペアで「良い聴き手」の練習。

その後に、4人でマイプロシートを「話す・聞く・書く/描く」を行いました。

自分の人生を語り、相手の話を聴きます。
それを、言葉だけでなく、絵や文字でも表現してみました。

「他人の人生を、こんなに真剣に聞いたのは初めて」― そんな感想もでました。

午後は、前野先生による野外での木工の時間。枝から笛をつくります。

自分だけではなく、みんなが音が出ることを目標に、
切って、削って、吹いてみる。

また削って、吹いてみる。— 音が出るまで、黙々と木に向き合う、静かな集中が生まれていました。

夕方からは長良川へ移動します。

途中、ペアで一人が目隠しをする「ブラインドウォーク」を体験。
短い手綱で相手とのつながりを感じながら、対話を通して、「相手に委ねること」「支えること」を体感します。

そして、長良川に到着。翌日体験するラフティングに向けて、ごろーさんから

「なぜアカデミー生活のはじめに、ラフティングをやるのか?」

をグループで考えてもらいます。

学生たちからは、

・木材流通の「川上から川下まで」を体感的に知るため
・危険の中で生まれる信頼を得るため
・思い通りにいかない経験をするため
・川の流れと人生の重なりを感じるため

といった、多様な視点からの意見が出てきました。

同席してくださったODSSのプロガイド・うっけんさんからは

「みなさんのテーマを思い浮かべながら、ぜひ楽しんでください」

というメッセージが送られました。

アカデミー生を見に来てくださったODSSのプロガイド・うっけんさん(右)

チーム決めで起きたこと

この日の大きな出来事が、ラフティングのチーム決めです。

きっかけはごろー先生の何気ない一言でした。

「明日のラフティングのチーム分け、教員の方で決めるか、自分たちで決めるか、相談してください」

簡単に決まると思っていたこの問いから、議論は思わぬ方向に行きました。

「自分たちで決めたい」
「教員に決めてもらった方がいい」

意見が対立します。その背景には、

「どんなチームでも受け入れたい」
「公平性や安心感を重視したい」

といった、個々の価値観の相違がありました。結論はまとまらず、夕食後、焚き火を囲みながら、再び議論をすることに。時間をかけて話し合い、最終的には全員が納得する形で「あみだくじ」で決定しました。

偶然生まれた対立。しかしそれは、26期のメンバーが本音で語る機会となりました。

3日目|ラフティングで長良川を下る

最終日はいよいよ長良川でのラフティングです。

ボートを膨らませる。

ボートを運ぶ。

どれも、一人ではできないことばかり。だからみんなで協力します。

前日に決めたチームで、いよいよ出発。

声をかけ合い、水をかけ合い(いたずら)、
自然と笑顔が生まれていきます。

途中の「ボディラフティング」では、
みんなで輪になることに挑戦。

見事、一つの輪ができました。

また、「チャレンジ・バイ・チョイス」という考え方のもと、
飛び込みは自分で選択します。

やる・やらないを、自分で決める。その選択もまた、この場の大切な学びでした。

1日かけて下るコースを3時間で駆け抜けたアカデミーチーム。岐阜の山が生み出す水の豊かさを全身で体感する、凝縮した川の時間を過ごしました。

 

3日間をふりかえって

いよいよ3日間の最後の時間です。
一人になって、静かにみんなで過ごした日々をふりかえります。

そして全員でふりかえり。話す中で、そして人の話を聞く中で、様々な感情が動きます。
学生のみなさんからは、こんな言葉が。

「頑張らなくていい、助けてと言っていいと思えた」

「いろんな人と関わることで、自分が見えてくる」

また共に過ごす中で、こんな感覚も芽生えたそうです。

「自由でいい反面、不安もある」

「無理していた自分に気づいた」

さらに、

「共に学び合うという関係がしっくりきた」

「話を聴き合う時間が一番豊かだった」

「誰かに“助けてください”と言えるようになりたい」

といった言葉も印象的でした。

一人ひとりの思いを場において、3日間の合宿は終了しました。


この3日間で、学生同士の関係性は大きく変化しました。

ー 最初は、気を遣い合う関係
ー そこから、違いに気づき、ぶつかり、本音を出し、受け止める関係へ

今回の2泊3日は、単なる体験の積み重ねではありませんでした。体験から自身の学びにつなげる学習でもあります。そして、様々なことを通して起きるプロセスそのものが、互いの関係性を考え、また深める要素となりました。

この合宿は、単に「仲良くなる」ことが目的ではありませんでした。

「チームをつくる」ものではなく、「関係をつくり続ける力」を育てる

その成果は、すぐに見えるものではありません。「この経験がどうなるかは、2年後、5年後に見えてくるのではないでしょうか」 という前野先生の言葉の通り、長い時間の中でそれぞれの中で育まれていくことを願っています。

偶然出会った新入生19名。これから、悩み、迷いながら、共に学び合う時間が始まります。
仲間と出会い、学び合う関係をどう育んでいくか。2年間のアカデミー生活、楽しんでください!

<森林環境教育専攻 教員 小林(こばけん)>