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2019年06月14日(金)

一味違うぞ、今年のナタ 〜林業学生のための木工の実習〜

「ナタの柄を自分で削って作らせたら面白いよね」
「それいいですね。アカデミーらしい木工の実習にもなるし」
「道具を自分で手入れして使う意識も育つかも」

去年のある時、林業と木工の教員がこんな雑談をして盛り上がったのがきっかけで、さっそく今年度から授業に取り入れることになりました。
去年までは、林業を学ぶエンジニア科の学生たちは入学時に既成品を購入していたのです。今年の学生たちは入学後1ヶ月ほど学校の既成品を使って握る感触を確かめ、6月にマイナタの柄づくりに挑戦してもらいました。

まずは完成写真から。どうです、立派にできあがっているでしょう?よく見ると、なかなかユニークな形もあります。

 

初めての授業、しかも学生は24人もいるので準備が大変。ナタの柄のような曲線を削るのに向くカンナを総動員しました。

 

学生たちはナタの刃だけを業者に注文し、柄の部分は教員が途中まで加工して準備。本当はグリーンウッドワーク的に生木をナイフで削らせたかったのですが、乾燥する途中で割れてしまっては困るので、今回は乾燥材を使用。樹種はシラカシです。
あまり奇抜なデザインにならないよう(笑)、型紙を用意して成形の目安にしてもらいます。

 

そしてこれ!4月の「さじフェス」で木工家の大久保公太郎さんが使っていた、ワークショップ用の簡易削り馬です。さっそく授業にも導入。柄をしっかり押さえることができて優秀なのです。

 

ふだんナタを実習等で使う教員たちも顔を出してくれます。理想的な柄の形状やバランスについて解説する伊佐治彰祥先生

 

アカデミーに赴任するまで林業の仕事をしていた新津裕先生は、日本製紙の山林部だったひいおじいさんが使っていた使っていたナタ(左)を披露。ふだん使っているナタ(右)に比べて柄がずいぶん太いのです。鞘にはクマの革が巻かれています。

 

柄を削り終わったら、刃を差し込み、穴を開け、目釘を入れて留めます。

 

2日間の実習で、無事マイナタが完成。刃も研いで、来週からさっそく林業の実習現場に持っていきます。
これから長く使うものだけに、みんな真剣に取り組んでいました。この経験をすると、使ってみて「もう少し細くしようか」とか、「ちょっとここをカーブさせよう」とか、道具を自分の手で改良する意識が生まれるはず。マイナタをどう育てるか、楽しみです。

これぞ、林業と木工の教員が揃う森林文化アカデミーならではの実習。教員も楽しかったです。

余談ですが、大変だったのはカンナの研ぎ。本当は研ぎも学生たちにやってほしかったのだけど、わずか2日間の実習でカンナの研ぎを教えていては時間が足りなくなってしまうし、全部同じ形のカンナを揃えられなかったので、今回は全部教員が研ぎました(大変だった〜)。この形状のカンナを南京ガンナと呼びますが、こういう実習に使いやすく、研ぎやすい南京ガンナがほしいです。

久津輪 雅(木工・准教授)