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2021年03月15日(月)

フィンランド・パビリオン竣工(アアルト模型製作ワークショップ5)

建築家アルヴァ・アアルトのフィンランド・パビリオンが竣工しました。

『 アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド ― 建築・デザインの神話 』として、
世田谷美術館 2021年3月20日(土)~6月20日(日)
兵庫県立美術館 2021年7月3日(土)~8月29日(日)で展示されます。

ここに至るまで、フィンランドとのオンライン・ミーティングや、プロの模型作家さん、日本福祉大学の坂口先生、ギャラリーA4の方との打ち合わせを経て、模型の完成度を上げてきました。

例えば下の写真は、エントランスにあるスポーツ関連グッズを展示していた(と図面のフィンランド語から読み取れる)ガラスのショーケースのフレーム。スギ材をくりぬいていますが、フレームの厚みは0.3㎜ほど。細かい!!
奥に見える筒を斜めに切ったようなものは、トップライトの集光装置。アカマツの経木を2枚貼り合わせて曲げて作っています。安定した北の光を取り込むために、45°くらい斜めに傾いています。
この天井板の厚みが3㎜です。いかに精密な作業かお判りいただけると思います。

さらに、下の写真は中庭の石畳み。
木にラインを刻むだけでは、木目がつながってしまい石張りに見えないと、ヒノキの板を一枚づつくりぬいてはめ直していきました。いい感じに石畳に見えます。

これらの細かなパーツを一つに組み上げていくのも一苦労です。

今回の素材は主にアカデミー演習林から出てきた杉のムク板を使用しており、表面模様のスリットなどを入れていくとどうしても反りが出てしまいます。
その反りを矯正しながら、組み立てていきます。接着剤をつけて、動かないように当て木をして紐でくくって一晩。
何とか、形状が維持できました。

また、外部の地形は、ウッドファイバーを削り出し、樹木は実際の枯れ枝で表現しています。
実際の建築は樹木を伐らないように建物の配置計画を行ったとのこと。
そこで樹木の配置は図面から読み取り落とし込みました。直線的な建物形状との対比が美しいです。

建物と敷地とのとりつきにもいろいろ試行錯誤がありました。

平屋部分の建物は斜面から浮いおり、床下に設備などが配されていると考えられます。
その下部をどのように敷地になじませるか。実際の写真もなく、図面を見てもディテールが見当たりません。
立面図のスケッチやメモ書きから目隠しの格子がこのようにあったのではという問答を学生間で何度もやり取りを行い再現しました。

完成した模型写真を何枚か紹介します。

まずは東からの外観。
斜面を利用して、空間構成を考えながら建っているのがわかります。
手前の大きなボリュームがメインの展示室、背面に広がる平屋部分は、エントランスやギャラリー、フィンランドの森をイメージした空間があります。

真横(北東)から見ると、こんな感じ。手前に国旗を掲揚するポールが5本あり、その奥にメインホールの木ボックスが浮いたように佇みます。

北から見た中庭部分。苦労したトップライトや石畳みもしっかり確認できます。

今回製作に携わった学生のみなさん、本当にお疲れさまでした。
ムクの素材を用いてアカデミーらしさが全面に出た完成度の高い模型になりました。
機会がありましたら、ぜひ美術館でご覧いただければと思います。

准教授 辻充孝

-------これまでの道のりは下記のブログをご覧ください。

フィンランドとWEBミーティング(アアルト模型製作ワークショップ1)
幻のパビリオン(アアルト模型製作ワークショップ2)
マイレア邸の原寸階段模型2003(アアルト模型製作ワークショップ3)
長良杉のフィンランド・パビリオン(アアルト模型製作ワークショップ4)

 

展示会概要-----------
『 アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド ― 建築・デザインの神話 』
ホームページ:https://www.aino-alvar.com/index.html
主催館 世田谷美術館 2021年3月20日(土)~6月20日(日)
兵庫県立美術館 2021年7月3日(土)~8月29日(日)
主催:竹中工務店、ギャラリー エー クワッド
協力:アルヴァ・アアルト財団
後援:フィンランド大使館


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