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2019年12月07日(土)

2019 ドイツ森林環境教育 視察報告その8 「森の乳母!?」

「ナバ、面白い活動をすぐそこの森で今やってるから見に行かない?」

シュトゥットガルト(ドイツ)にある森林教育センター、ハウス・デス・ヴァルデス(Haus des Waldes)の中庭で、来年度の連携プロジェクトの打ち合わせをしている最中、ディレクターのカタリーナさんが私を誘いました。

早速彼女について森に行ってみると、そこには年配の(でもかなり元気な)女性が2〜3歳の子供たちを連れて森の中を散歩しているではありませんか。

「TagesMutter(乳母)よ!」カタリーナは教えてくれました。

 

子どもたちは森の中に転がる丸太の上を自由に歩きまわり、古い木の切り株を舞台に土をこねて何やらおままごとをしていたかと思うと、高いところまで登って飛び降りてはしゃいでいたり。。。そして乳母の女性は近くでニコニコ見ていたり、遊びをフォローしてあげていたり。。

聞くと、彼女は日本で言う「ファミリーサポート」のような体制のもとで活動している人だとか。もともと彼女はパソコン関連の仕事をやっていたそうですが(生物の博士号も持っているんだとか。。)定年退職後、子供達と森をつなぐ活動がしたくて、乳母として登録して、彼女の森の中で子育てするスタイルを気に入った保護者らが彼女と直接コンタクトを取って契約してくるのだそうです。素晴らしい!

今や多くの託児施設が室内で、下手をすると窓もないような無機質な空間で、子供を預かる中、彼女は毎日森の中で子どもたちの面倒を見ているんだそうな。確かにこの方が、幼児期に欠かせない「土に触る、草の匂いを嗅ぐ、木に抱きつく、虫や生き物に出会う、などなど五感を使ったリアルな自然体験」を十分にさせてやることができますよね。子どもたちの将来の幸せを考えたら、懸命なチョイスだと感じるのは私だけではないはずです。

ハウス・デス・バルデスは、そんな彼女のために森を自由に使ってもらったり、荒天時に施設を利用できるように優遇してあげたりしているそうです。公共の機関がこうした市民の「森と人をつなぐ」活動をしっかりとサポートしているのはとても素晴らしいことですね。早速「morinos」でも真似していこうと思います。

すべての託児やファミリーサポートがそうある「べき」とは思いませんが、「森の託児」とか「森のファミリーサポート」なんていう新たなチョイスが日本に生まれても良いのではないでしょうか。森林空間の新たな活用が垣間見えたひと時でした。

なんちゃってせんせい 萩原ナバ裕作