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2019年10月03日(木)

第5回森林経営管理制度運用にかかる実務者研修会を開催しました。

 令和元年度森林管理制度運用にかかる実務者研修は最後となります。

 今回は、森林管理制度を運用するにあたり、活用できる「士業」の方々を招いて研修を行いました。

 

 最初に、講義をいただいたのは、日本土地家屋調査士会連合会 小野伸秋副会長です。

 小野副会長からは、市町村が森林経営管理法の業務実施にあたり基礎となる林地台帳等の「土地の登記・権利情報がどのようにして変遷されてきたのか」 「土地の登記情報はどのような性質があるのか」 「国家的な制度としてどのような問題があるのか」について講義していただきました。

 現在の公図は、明治時代以降、土地に関して国の機関がそれぞれ管轄していた土地台帳制度(税務署、物理的な土地の情報)と地券台帳(法務局、不動産登記制度、土地権利の登録)を、昭和35年に不動産表示登記制度(法務局)をもとに統合し、最終的に法務局の管轄になったものだということです。明治39年以降については、法務局の土地台帳(無料で入手可能)を見ると、その土地の所有がどのような変遷を経たのかの履歴が分かる書類も入手できます。

 明治時代に行われた調査では、郡村地、市街地、山林原野は、それぞれ違う方法で測量がされており、特に山林原野は、「足踏み」で調査したという記載があり、測量精度が低いという事も記録に残されています。

 現状、不動産表示登記制度において登記は義務でなく、そのことが所有者不明土地を生み出している原因となっており、現在、法制審議会が不動産表示登記制度の改正をして登記申請の義務化が議論されているとのことです。

 森林経営管理法で手続きの後半で取り組まなければならない「所有権界」の確定については、現在の所有者間だけ解決できるならよいが、過去にさかのぼって権利の議論をしないといけない状況になるのであれば、紛争の火種になることもあり、覚悟が必要になるとのことでした。境界の確定については、関係者全員が納得できる資料と説明をする必要があり、声の大きな人がいると、その時点でその人の声に引っ張られて、適切な解決にならないことが多いという現場ならではのアドバイスもいただきました。

 そうは言っても所有境界を効率的に確定させるにあたっては、境界(筆界)が地形的な特徴に応じて設定されていることが多いため、レーザー測量をして作られたS-DEM地図、CS立体図 赤色立体図(メーカーによって呼称がことなる)を見ると、地形的な特徴を非常に詳細に見えてくるため、筆界の特定の参考にしやすいとのアドバイスをいただきました。

続いて、第3回研修で森林所有者探索について説明していただいた品川尚子弁護士から「士業(行政書士、司法書士、弁護士、土地家屋調査士)」の役割・活用についてアドバイスをいただきました。

森林経営管理法は森林整備を進めるためにはよい法律ですが、当然のことながら条文を見るだけでは、具体的な進め方は分かりません。このため、市町村は、林野庁が準備している手引きを見ながら進めていく必要があります。実際の作業になると市町村ごとにより具体的な作業方針ややり方を決めなければ進めることはできない状況であり、この部分にほとんどの市町村の悩みが集約されているということでした。

森林整備を進めやすそうな現場から進めていっても、森林組合がやれていない現場について対応することになるため、やはり難しい状況が出てくます。このため、法律をよく理解し、対応せざるを得なくなります。行政職員として、多少、難しくても法律的な知識を活用して、課題突破を図るという気概を持ってやってほしい、とはっぱをかけられていました。

それぞれの士業の仕事は明確に分けられており、今回の説明では、行政書士と弁護士の違いについて説明がありました。弁護士も相続関係図を作る技術は当然ありますが、「相続関係図を作る作業」という名目では仕事を受けることが許されておらず、弁護士が相続関係図をつくるときは、何らかの事件の解決の一環として作成する場合のみです。

 最後に、岐阜県行政書士会を代表して野村公人副会長から行政書士の仕事内容と、森林経営管理法のなかで協力できる範囲について具体的に説明していただきました。

 行政書士は、官公庁に関する書類を作成するのが仕事であるため、行政書士は、弁護士のように紛争に絡む仕事はすることはできず、また、作成を依頼された書類が関係する事案についての意見を言うことも法的に許されていません。さらに、税務署、司法に出す書類は原則、作成することは許されていません。

 森林経営管理法に関して、行政書士が協力できる分野は、所有者不明の場合の書類上での探索と相続関係図の作成になります。

 この場合、岐阜県行政書士会に発注してもらい、県内の会員が相続関係図の作成を担当します。費用は、どの程度の深堀が必要になるのかは事前にはわからないため、詳細な見積もりはできませんが、必要書類の取り寄せなど標準経費を示していただきました。作業は1か月以内には終了することができるとのことでした。依頼する際には、相続の状況を追いたい人(=亡くなっている人)の「除籍簿」と「その人が所有している登記簿」を準備しておくことが必要となります。