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2019年11月06日(水)

百年公園木育WS①「雷鳥キーホルダーづくり」

  クリエーター科2年木工専攻授業「木工講座の実践1」エンジニア科2年林産業コース授業「木育総合演習」の一環として木育WSの本番(実践)がはじまりました。Cr科2年は企画と取りまとめ役、En科2年の学生3名はスタッフとして参加。総勢4名を1チームとして、「テーマ決めの調査→WS企画→準備→プレ実践→振返り→ブラッシュアップ→広報→本番WS→報告書作成」までの一連のWS運営を実地で経験します。舞台は「岐阜県博物館」ならびに博物館が位置する「百年公園」です。岐阜県博物館、公園指定管理者の昭和造園土木、さらに公園内レストハウスで木育推進活動を展開するアカデミー卒業生を中心とした団体NPO musubiの三者の協力のもと、木育WSを通じて県博や公園の魅力を新たな切り口で伝え、皆さんに足を運んでもらうことを目標としています。4月の博物館での関係者打ち合わせ及び館内調査にはじまり、6月には百年公園内の森林資源観察を経て、教材の試作。平行してプログラム開発。プレ実践を通してスタッフの育成。10月には、県博での実践前の最終の情報共有。企画者であるクリエーター科学生にとっては初めての実践であります。スタッフとして入るエンジニア科学生にとっても、1年での授業「木育」にて、木でつくることを伝える基本を学び、この授業で、いよいよ実践の場であります。

これから12月末まで、5人の企画者の実践を随時、担当学生に報告してもらいます。

「木工講座の実践1」「木育総合演習」担当:松井勅尚

10月20日(日)、百年公園「オータムフェス」開催同日、レストハウスにて木育ワークショップを実施しました。

「雷鳥」をテーマにした背景には、

  • 下見をした「スプリングフェス」の際、客層として親子連れが圧倒的に多かったこと。
  • 博物館内の観覧の様子では、とりわけ動物の展示の前で親子の弾んだ対話が見受けられたこと。
  • スタッフの1人より「岐阜の人は、県の鳥である雷鳥を案外よく知らない。せっかくこちらの博物館に充実した展示もあることだし、より多くの人に知ってほしい」という提案があったこと。

この3点があげられます。博物館常設展示入口エリアには、雷鳥の剥製や動画解説コーナーもあり、展示として充実していることも決め手になりました。

 

レストハウスは、百年公園の入り口付近にあります。まずはこちらの雷鳥WSで、デフォルメされた雷鳥モチーフのキーホルダーづくり=「木のものづくり」を通じて、じっくり向き合う時間をとることで、雷鳥自体への関心を抱くきっかけとしてもらう。さらにWS後は、博物館へ足を運んでリアルな雷鳥(剥製、動画)に対面してもらおう、という趣向です。博物館のご厚意で、WS参加のご家族には、当日減免(無料)にて博物館をご観覧いただくことができるよう取り計らっていただきました。

 

「今回はケヤキとカエデを使ったキーホルダーを作ります。ケヤキの葉っぱや樹皮は、こんなカタチや色をしています。では、この目の前にある木材サンプルのうち、どちらがケヤキでしょうか?」といった木に関するクイズをまず1問。身近に目にしている立木の姿と、木工品としての材や木目の姿を結びつけてもらうことから、ワークショップは始まります。

 

さらに、雷鳥ってどんな鳥?というクイズが続きます。「なんで雷鳥っていうの?」「どんなものを食べる?」「どんな鳥の仲間?」「どんなところに棲んでいる?」などなど。皆さん、答えられますか?よっぽどの鳥好き、雷鳥好きでなければ、なかなか正解は知らないのではないでしょうか。それでも、いろいろと推理された結果、予想外に正答率が高かったのが印象的でした。

このWS、パーツはあらかじめレーザー加工機でカットしてあるため、つくる工程としては8割方が紙やすりがけです。これが何とも、奥が深いのです。レーザー切断面の焦げ跡を綺麗に落とすことと、雷鳥のカタチを保ったり、思い描くラインでキープすることとの両立がむずかしい。当初の見込みでは、小さなキーホルダーだから、やすりがけは30分もあれば充分だろうと想定していたところ、プレ実践で試した結果、大人でも50分程かけてようやく、満足いく仕上がりになることが判明。企画の立場としては、何事も実践してみなければ分からない、という貴重な学びとなりました。

 

思う存分やすって、気持ち良いすべすべの手触りの「マイ雷鳥」が出来たら、もう一息です。クルミを木槌で叩いて、にじんだ油で塗装し、深みとツヤのある色へ仕上げていきます。最後に、革でキーリングを包み、カシメという金具を金槌で留めて、完成です。

 

 

想定していたより小さな子どもたちの参加が多く、根気のいる紙やすりがけは、やり遂げるのが難しいのでは?という心配もありましたが、やるうちにだんだん面白くなってきたらしく、最後はやすりがけの順番を取り合う兄弟がいたり、つい手伝いたくなるお父さんにどうしても渡さず自分で仕上げると頑張る子などもいたりして、「ものづくり」の面白さは、やってみると小さな子でも夢中になれるものだと実感しました。もちろん、なかには飽きてしまう子もいましたが、あとを引き継いだお父さんやお母さんが満足そうに仕上げてくださったので、家族でのものづくりの思い出としても、よい機会になれたのではないかと思います。

 

はじめてのWS企画でしたが、手探りでの準備、授業と両立させながらの皆のスケジュール調整、値決めをどういった基準で行うか、広報チラシの施設による受入可否と配布先の再検討など、細々と検討&判断する項目が次々に出てくるライブ感ある準備の日々は、実践してみてならではのよい経験となりました。

 

ご協力いただいた皆様、ならびにワークショップ参加者の皆様、本当にありがとうございました。

 

企画担当:クリエーター科 木工専攻2年 庄司 晴美