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2020年06月08日(月)

永続的な木材生産のために山地崩壊リスクを知る

今日の授業は林業専攻2年生の「木材生産システムの応用」です。講師は森林研究所の和多田研究員と臼田研究員です。

 

今日のテーマは「山地災害リスクを考慮した木材生産」です。

 

木材生産のためには山の中に道をつけることが必要ですが、道をつけたことが原因となり山地崩壊を引き起こしては、何のために道をつけたのか分かりません。またお金を得るために木を伐採したのに、伐採がきっかけで山地の崩壊が発生し、近隣に多大な迷惑をかけてしまう…ということにならないように留意する必要があります。

 

ということで現地での崩壊リスクの判別ポイントを演習林で学びました。

 

今回の授業でもっとも重要なこと、それは崩れやすい場所の3条件です。

① 急傾斜である

② 流れる土がある(地盤が風化している)

③ 流す水がある(地下水が多い)

こちらの奥に堰堤がありますが、ここはちょどう断層が走っているラインです。下をみればジャゴケが。ジャゴケは常に湧水があるところに生育するため、ここの場所は地下水が浸み出しており、水分が非常に多いことがわかります。

こちらは作業道の開設後の場所。ちょうど切土の上部にウラジロ群落があり、そこの切土から水が浸み出しています。

 

このようにシダやコケを判別することで、その場所の水分条件を読み取ることができます。崩れやすい場所の条件の3番目「流す水がある(地下水が多い)」を地表の植物を観察することによって判断することができるのです。

 

他にも木の根の張り方から土層厚を推定したり、木の曲がり方から土砂の移動の有無を推定したり、様々な判別ポイントを教えていただきました。

 

さあこれから山に出かける際に、立木、土、シダ、コケなどを観察しながら、この場所は「永続的な道が開設できるのか」「木を伐採してもいい場所なのか」という視点も取り入れて、山を見ていきましょう!