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2022年09月13日(火)

気づきと出会いは現場から(山村経営の人・資源・技術 第3回目)

<2022.8.19> 森林環境教育専攻の選択科目「山村経営の人・資源・技術1・2」第3回目を実施しました。

前回に続き、郡上市明宝で学生それぞれが気になった地域資源をテーマにプロジェクトをつくって実施する授業です。NPO法人ななしんぼの工房をお借りして、前回までのふりかえりと今後の自身のプロジェクト計画について確認します。

この日出席はクリエーター科1年生4名、2年生2名の計6名。取り組みたいテーマは決まったけど、どんなプロジェクトにするのか、まだ悩み中の者がほとんど。そこで午前中はメンタリングの練習を兼ねて、2グループに分かれて対話を行いました。

1グループ3名で、それぞれ発言者、聞き手(メンター)、傍観者(ファシリテーター)の役割で聞き合います。普段は教員がメンターになるケースが多いのですが、さすがアカデミー生、それぞれメンターの役割を発揮して発言者の”ぼんやりしたイメージ”を具体化するための言葉を本人から引き出していきます。

1年の山崎さんは、1回目で出会った昨年突如折れた名木「善兵衛桜」の活用をテーマにしています。そのことをメンバーに伝えていたところ、「善兵衛桜を守る会」の会長、大坪さんが偶然通りかかり、お話を聞いていただくことに。一通り山崎さんのお話を聞いたところで、「じゃあ、とりあえず午後から今ある材木を運ぼう」と急遽決定。思わぬ偶然でものごとが進むのも、現地実習のメリットです。

「偶然来ただけなんやけど…」と学生の相談に参加してくださった
善兵衛桜を守る会 大坪会長(中央)

 

昼食を挟んで午後からは、学生それぞれのテーマで活動しました。

 

わらじづくりをリサーチするチーム。明宝ニ間手地区で祭礼用のわらじづくりを唯一続けていらっしゃる方に連絡をとり、急遽訪問。森林環境教育専攻1年の湯本さんは、後日わらじづくりをレクチャーしていただくためにアポ取りをしていました。

 

善兵衛桜の活用を相談するチームは、昨年折れて積まれていた枝や幹を移動。大坪会長の指示のもと、トラックに積み、日当たりのいい場所に移動して、乾燥が進むように底上げして設置しました。この後は、秋に簡易製材機を運んで製材を行うことに。木工専攻の山崎さんは地域の人々の思いが残る桜の木の活用方法をリサーチしながら、製材の仕方を考えることとしました。

その他、明宝歴史民俗資料館に伺い、道具や民具をリサーチするチームも。

それぞれ活動した1日の最後には、それぞれのプロジェクトのゴール目標(アウトプット)の確認をしました。アカデミーの文化祭「翔風祭」での展示や実演のほか、道の駅など人が多く集まる場所へのイベント出典、そして地元明宝の地域住民による文化祭「めいほうフェスティバル」への参加など、それぞれのゴール目標を確認し合いました。

現地で地域の人と素材に直接触れながら、山村の資源を肌で理解し、実践を通じて学んでいく授業。それぞれどんなプロジェクトになり、どんな実践が行われていくのか、今後の進展に注目ください。

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<後日談>
「食」をテーマに考えている森林環境教育専攻1年生2名が、後日明宝の「自然食泊 愛里(あいり)」さんへ自主リサーチに。お伺いした愛里の女将さん、石田賀代子さんは「農林漁家民宿おかあさん 100 選」の第1回選定者でもあります。
学生のみなさんは宿泊しながら、女将さんからさまざまなお話を伺っていました。女将さんの自然の恵みをとりいれる暮らしと食の知恵に、二人は大いに感銘を受けたそうです。旬の地域食材も堪能したみなさん、この後どんなプロジェクトになるか、楽しみです。

准教授 小林謙一(こばけん)