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2017年05月03日(水)

忍法 ぶり縄の術!? En科1年「林業の道具」開講中

只今、エンジニア科1年生「林業の道具」開講中です。

この科目は、林業で使う様々な道具や安全装備について学ぶもので、4回シリーズで授業を行います。

ロープワークをテーマとした2回目の授業では、「ぶり縄」を体験しました。ぶり縄は、岐阜県では、関ケ原町今須地域の択伐林施業において、大径材の枝打ちに用いられてきたことで知られています。

短い棒にロープを結び付けたとてもシンプルな道具ですが、ベテラン技術者が、この道具を用いれば、抱えきれないような大径材でもあっという間に登れてしまいます。現在では、大木の樹上に営巣する猛禽類の生態調査にもこの技術が活用されているとのことです。こんなシンプルな道具で、大木に登れてしまうなんて、ぶり縄は、忍びの技だったのかもしれませんね。

  

森林文化アカデミーでは、毎年、「林業の道具」ロープワーク編の実習に、このぶり縄体験を取り入れています。

はじめに、教室で、ぶり縄の歴史や、作り方、立木への巻き付け方を学び、演習林に向かいます。

演習林では、2人ペアーになって、まずはロープの両端に棒を取り付けます。バディーの信頼を裏切らないようしっかり取り付けます。

ぶり縄が完成したら、次は、木への巻き付けです。ぶり縄は、岐阜県以外でも使われており、取り付け方は、いろいろありますが、今回は、今須地域で用いられる巻方を覚えます。

ベテランは、確実な取付ができるため、無駄のないシンプルな巻方をしますが、実習では、安全確保のため、要所で、巻数を追加しています。

 

 

取付ができたら、早速、登ってみます。足場は、思った以上にグラグラします。ゆるみを出さないようしっかり巻き付け、巻終えたところで、更にロープを絞り込むことがポイントです。この高さなら、まだまだ余裕ですね。

続いて、二段目の取り付けにチャレンジします。一段目は、地面に立っての取り付けで、巻方さえ理解していれば、苦労は無かったはず。ところが二段目は、足元は、グラグラ、自由に両手が使えません。

この状態で、足がかりになるループの長さを調節し、しかも、足場はしっかり付けなければなりませんから、難易度が急に上がります。 ベテラン技術者は、足を使って体の安定を確保します。

こうして、四苦八苦する中で、この作業のポイントも見えてきます。 そして、このころから「腕がつるー!」、「足がつるー!」と悲鳴が聞こえ始めます。

 

大方の要領を理解したところで、実践的な高さで、ぶり縄を使ってみます。ここからは、安全帯も装着し、バディーもサポートにつきます。

安全帯は、これから随所でお世話になる道具。この機会に装着や取り扱いをしっかり学びます。

安全帯に身を預けることで、両手を作業に使えるようになり、二段目の取付にも余裕ができますが、一方で、体の自由度は制約されます。 安全帯の使用にも慣れが必要です。

 

写真でわかるように、一段目に登った段階で、もう3m以上の高さに十分手が届き、元玉一本分の枝打ちは、これでできてしまいます。ぶり縄は、現在でも実戦に使える技術です。

秋には、ぶり縄を使った枝打ち実習も行われます。En科のみんなは、それまで、ぶり縄の作り方、巻き付け方を忘れないように!

午後からは、校庭で、様々なロープワークを覚えました。午前中の疲れもあり、色々な結び方を学ぶうちに、ロープも、頭もこんがらがって?この日の授業は終了です。

最終回は、ロープワークの効果測定を行います。それまでに、しっかり、ロープワークをマスターしておくように。

以上、報告は、担当の伊佐治でした。