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2017年02月22日(水)

心の豊かさを満足させる 『2016年度 課題研究公表会』

 2年間の成果を示せ、2016年度 課題研究公表会

クリエーター科学生が2年間の成果を示す「課題研究公表会」、開催にあって涌井史郎学長さんから発表者に激励の言葉を頂きました。

今回は学生の都合もあり、9名が発表に臨みました。

最初は石ちゃんの「NPO法人による森林整備とコスト分析」です。

全国で活発にNPO活動している団体を下調べして、そのいくつかに出かけて学び、東北地方で実際にNPO活動に参加して、問題点の洗い出しをしました。

そして、①間伐補助金の経済的価値について、②労働力確保における地域住民やボランティアの意義、③危険予知活動の重要性、について報告しました。

 

2番手は伸くんです。「素材生産における集材機械の選択について」と題して、家業の林業を継ぐためのコスト計算を中心に発表しました。

従来から使用していた架線集材とタワーヤーダ集材を、自社の現場毎に分析して、生産性の比較をしました。

 

発表内容に対して一般の方から質問が、しかし答えられず、質問にタジタジです。

それでもヒヤリハットを記録化し、その解決策を積み上げる中で安全性を確保することも述べました。

 

3番手は國さん「林業のICT活用の可能性について」と題して発表しました。

林業では遅れている情報通信技術、スマートフォンを利用してクラウドデータベース利用による共有化などについいて報告しました。

國さんは、森林文化アカデミーの講座として「林業のハッカソン」を、本州で初めて開催し、その利用可能性を確認しました。

 

涌井学長からは、クラウドデータ利用の価値や製品化に向けた助言もありました。

 

4番手は菜っつ、「スギの燻製用チップとしての可能性を探る」と題して発表。

これまで燻製には利用されて来なかった針葉樹、その中でスギを材料に燻製を作成し、官能評価テストを実施。それを受けて、着地型観光イベント「長良川おんぱく」のプログラムの一つとして、森林散策や燻製づくり、試食を実施しました。

イベント参加者からの評価や官能評価テストの結果から、B to Bへの流通の可能性が見えてきたようです。

 

5番手はもりもり、「黒心材の可能性を探る」と題して、これまでの木材のネガティブイメージの検証や、それを払拭するような評価ポイントなどを探った内容を報告しました。

黒心は乾かない。でも板材ならそのようなことはない。

林業や木材業者など川上から見ると欠点である黒色は、家具メーカーや加工業者から見れば魅力。自ら建築総合展NAGOYAにて展示、アンケート分析をしました。

 

結果として、出口を意識して積極的に提案するような工夫によって、黒心材に限らず、木材の商品性を高める可能性の大きさを感じたようです。

6番手の岡ちゃん、「民具活用のための基礎研究 ~揖斐川町春日地区を事例に~」を発表。

民具×教育、民具×福祉、民具×アートという3つのアプローチをする中で、自らを民具オモシロガリストと称して活動。

「民具で遊び民具から学ぶ体験学習プログラムMINGOO」の活動、民具持参のお宅訪問、民具の美などを探る中で、「民具の魅力を伝えるために有効なアプローチは何か」を導きました。

7番手は瑞慶(ずけ)ちゃん、「地域コミュニティの場のデザイン」と題し、A保育園園丁デザインの実践を報告。

自らのお子さんが通う保育園に木陰が無く、またその前を地域の人たちが通路として利用している現状。また現代社会において独居老人が増加することで、人口は減少しているのに世帯数だけが増えている問題。

子どもを核として、あらゆる世代が保育園で交わる。そんな子どもの遊びとコミュニティの場を創造しました。

学長からは考え方も、対応策も良いが、デザインの中から構築物の角(コーナー)という、子どもにとっての潜在的な危険を排除するようアドバイスがありました。

8番手は、横ちゃんです「再生可能エネルギー熱による急騰熱供給の提案」としてソーラーとバイオマスによる自給化について発表。

地域エネルギーの自給は地域経済への波及も大きく、様々な面で①イニシャルコスト、②トータルコスト、③専有面積、④即時性・持続性、⑤環境性、⑥自給性の尺度で、エネルギーの併用を提案。

 

最後は、カーリーです。「グリーンウッドワークで森を楽しむ」と題して、森林資源の自給的活用の中で、間伐される小径木の有効利用と木育・森林環境教育的分野にまで踏み込んだ活動を紹介。

3回の体験会を通して、自然の知識、木材の材料に対する知識、そして作品の完成度と満足度を調査。

グリーンウッドワークの魅力である、収穫から書こう、使用までの一連の流れを感じられることを考えて、互換で感じられるガイドブックを作成しました。

朝から夕方まで続いた課題研究発表会。

最後に涌井史郎学長から、学生一人一人に総評をいただきました。この課題研究公表会には何人もの卒業生も駆けつけて下さり、発表内容に熱心に耳を傾けてくれました。

涌井学長は「発表内容はどれも、物やお金の豊さで無く、心の豊かさを満足させるものであった」これが重要なポイントで、「ナレッジよりイメージが大切」、「本校の学生たちは、最先端なのかもしれない」とも話されました。

今回発表されたみなさん、指導された先生方、公表会に参加して下さった多くの方々、そして裏方として準備して下さった事務局の皆さん、本当にありがとう御座いました。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。