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2019年02月20日(水)

平成30年度『森と木のクリエーター科 課題研究公表会』

  岐阜県立森林文化アカデミーの『課題研究公表会』、学生はもとより、ご父兄でも、企業の方でも、ご近所さんでも、興味がある方なら誰しも聞ける研究発表、今年は15名が興味深い課題について発表しました。

 まずは涌井史郎学長さんが、学生に期待を込めたエールをおくりました。

 

 

 最初は林業専攻からです。1番手は石垣さん。

 彼は『林業事業体による苗木生産事業化のシュミレーション』と題して、就職先の林業事業体がスギの苗木生産をする場合の採算を含めた可能性、スギ品種などについて発表しました。

 



 石垣さんは、従来通りの「はだか苗」と「コンテナ苗」の好まれ方、苗生産にかかる経費、様々な比較結果を報告していました。

 

 

 2番手は植松さん、地元を舞台に『里山整備への第一歩を特用林産物の魅力で誘導する ~家庭菜園の発想から~ 』と題して、キノコ栽培や山菜栽培の実践事例、日本刀鍛錬における炭販売実績などを調査し、里山整備による収入の可能性を研究しました。

 

 3番手の清水さんは就職先の森林組合でも利用できる技術を身につけるべく、『アカデミー演習林の地図情報の修正』と題して、従来のGPS機器、衛生みちびき受信のGPS、タブレット端末、ドローン利用による精度の違いと、森林簿上の誤差習性の可能性を探りました。

 

 4番手の中田さんは、故郷の飛騨市での仕事に応用できるよう『ドローンを用いた森林調査の効率化』と題した課題に取り組みました。2機種のドローンを利用比較して、安価で精度の高いデータをどうのように得られるのかを検証しました。

 

 5番手は木造建築専攻の大上さんです。

 大上さんは『住宅における照明計画の手法を整備する ~木材の光反射率と照明計画事例を通じて~ 』と題して、木製の天井や壁面に利用する照明計画について光反射率を考慮した計画作成に向けて、様々な視点から論じました。

 

 途中、涌井学長から大半の学生に対して、取り組んだ課題の価値や考え方に関する示唆、そして質問がありました。

 

 6番手は坂田さんです。

 彼は『木造住宅の耐震診断と補強方法の再評価 ~wallstatを用いた郡上八幡町の建物のケーススタディを例にして~』と題して発表。重要伝統建築物群の木造住宅のモジュールモデルで、倒壊危険性を評価していました。

 

 

 7番手は佐藤さんです。

 彼女は『ぎふ木育の理念を踏まえた施設提案』と題して、美濃加茂市から依頼を受けた木育活動に利用する棚のコーディネートや、岐阜県百年公園で実施される「木育」スペースの設計を通して、「ぎふ木育」と木造建築の融和に向けた可能性を感じたようです。

 

 下の写真は美濃加茂市から依頼を受けて企画提案した棚とのことです。

 

 さて、第一日目の終了に際し、涌井史郎学長さんから講評を頂きました。学生のよってアカデミックな研究から、より実践的な内容の検証まで、様々努力した結果について高く評価してくださいました。

 

 

 さて、第二日目です。

 まずは森林環境教育専攻の立山さんが、全体の8番手として発表しました。

 彼女は持病が発生して体調を崩していましたが、演台ににしがみついて発表を成し遂げる努力を見せてくれました。

 立山さんの課題は『身近な自然を活用した子宮に優しいミニワーク集の提案』です。多くの女性を悩ませる子宮内膜症、そうした女性特有の病に襲われたときに、どう自然を活用してリラックスするかをコルチゾールなどを測定して検証しました。

 

 

 9番手は、谷さんです。

 彼は『興味がない人でもじっくりと猛禽をみたくなる「きっかえ教材」の提案 ~身近な猛禽トビをテーマにした教材「TOBINGO」~ 』と題して発表しました。

 部類の猛禽類マニア出る自分の特技を活かして、トビのカードを多数作り、それを用いたビンゴカードを作成して、多くの場所で実践検証した内容を発表しました。

 一年前、谷さんに「猛禽類を中心に取り組んだインタープリテーションを考えて」と発言したのは私なので、その責任を感じて質問したのですが、生き生きとした回答が返ってきて嬉しくなりました。

 

 

 10番手は木工専攻の柴田さんです。

 柴田さんは『子育てママがリフレッシュできる木育プログラムの開発と実践 ~糸鋸ワークショップの可能性~ 』と題して、育児に疲れたママさんたちが強制的に子どもと離れて糸鋸にふれることで気分転換し、同時に作成した玩具で木育活動につなげられないかを検証しました。

 

 

 11番手は長屋さんです。

 長屋さんは『地域の資源を使い子どもの椅子を作る』と題して、自分の地元である関市洞戸周辺の木材産業を調査し、地元のスギ材を利用した保育園児用の椅子をエンジニア科学生と試作改良し、商品化と販売に向けた検証を行いました。

 

 

 2日目も涌井学長は、要所要所で学生の取り組みを評価され、同時に鋭い質問をされていました。

 

 12番目の宮崎さんは

ものを大切にし、長く使い続ける文化の再生 ~木工製品の修理・再生教室の試み~ 』と題して、美濃市の祭礼を用いる酒樽再生や古い家具類の再生を通して、人々が木製品に愛着を持ち、長く使う文化を伝える検証に取り組みました。

 

 

 13番手は山路今日子さんです。

 彼女は『里山を楽しむための「ものづくり」プログラムの開発 ~森林組合による新たな里山資源の活用~ 』と題して、美濃加茂市を中心に里山で収穫される様々な広葉樹やモウソウチクを利用したものづくりを企画運営し、森林組合の新たな活動として提案検証していました。

 

 

 14番手は山路陽平さん

 彼は『スギ柾目材を使った幅接ぎ戸の検証 ~スギ大径材の活用法の提案~ 』と題して、スギのドアを試作し、高山市にある岐阜県生活技術研究所の試験室で湿度と温度を調整して曲がり、反りなどを測定し、実際の利用に向けた商品開発を検証しました。

 

 

 

 15番手は若林さん。

 彼は『”つなぐ”を通じた地域連携強化の模索 ~西川林業地域を舞台として~ 』と題して、埼玉県の優良材生産で有名だった西川林業地域で、上流と下流がつながった取り組みを進めるにはどうすべきかを検証しました。

 

 さて、今年は2日間にわたって、岐阜県国際園芸アカデミーの今西学長さんもお越し下さり、熱心に発表をお聞き下さいました。

 両日とも最後には学生を高くお褒め下さいました。ありがとう御座いました。

 

 そして、最後には、もちろん涌井学長さんから、頑張ってきた学生と、それを指導された教員、ご協力下さった業界関係者及びモニターをしてくださった多くの方々にお礼を述べられると同時に、課題研究としての価値、内容の奥深さにもふれて評価されました。

 

 

 

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。みなさんありがとう御座いました。