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2023年06月16日(金)

地域産資材を活用したコンテナ苗づくりに取り組んでいます

エンジニア科の授業「林木育種・育苗」では,毎年,演習林に植栽するためのヒノキ実生コンテナ苗を作っています。一般に,コンテナ苗の用土には海外産のココピート(ココヤシの殻を破砕して,数十年堆積させて熟成させたもの)が使われています。

しかしこのココピートは海外産のため,近年のコロナ禍で輸入がストップしていた時期がありました。また,輸送に係る高い二酸化炭素排出を考慮すると,適切な用土とは言えない面も存在します。そこで,数年前から,地域産資材を活用できないかと,岐阜県森林研究所や民間企業と共同で試行錯誤を繰り返してきました(田口ら 2023;玉木ら 2023)。その結果,バーク堆肥をメインに使うのが良さそうだということが分かってきました。

問題は,育苗する過程で発生する培地の沈下と,高めのpH,水はけの悪さです。これらを解決するために,コンテナのキャビティ(穴)に土を多めに詰めたり,混ぜものをしたりする方法を試してきました。これまで試したことを踏まえて,今回は一年間野積みしたバーク堆肥を使うこと,鹿沼土またはパーライトを混ぜること,多めに土を詰めること,粗いふるいでふるってから使用することを組み合わせて試してみることにしました。

プランターで発芽させたヒノキの実生苗をコンテナに移植している様子

植え付け後に水をまいてみると,これまでになく水はけが良くて,良い感じです。これまでの結果では,何をやっても複数の形質でココピートと良くて同等か,むしろ劣る結果しか得られませんでしたが,今回はもう少し良い成績になりそうでワクワクしています。

准教授:玉木

引用文献

  • 田口木乃霞・玉木一郎・茂木靖和 (2023) CO2排出量の少ない地域産資材を用いたヒノキ実生コンテナ苗の育成の可能性. 日本森林学会誌 105: 印刷中
  • 玉木一郎・金山陽佑・田中一徳・茂木靖和 (2023) 地域産バーク堆肥を用いたヒノキ実生コンテナ苗の育苗. 中部森林研究 71: 印刷中