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2017年11月07日(火)

パーマカルチャーと森林文化&ロッテンブルク大学

森林文化アカデミーにはパーマカルチャーの授業があります。実はアカデミーと連携協定を結んでいるドイツのロッテンブルク大学にもパーマカルチャーの授業があるそうです。

パーマカルチャーは、80年代にオーストラリアのタスマニア島で生まれた「持続可能な暮らしのデザイン」のこと。タスマニア島で教鞭をとっていたBill Morrison(昨年他界)と生徒だったDavid Holmgren が、世界中の伝統的かつ持続可能な暮らしをヒントにまとめあげた持続可能な社会のためのデザインマニュアルなんです。

地形や光、水、風、人の力などその場にあるエネルギーから伝統的な暮らしの知恵や技術まで、衣食住、そしてコミュニティづくりをもカバーする総合的な考え方です。そして今やパーマカルチャーは、世界中に広がっていて世界の言葉となりつつあります。

実はこのパーマカルチャー、その多くは日本の里山の暮らしの知恵にヒントを得ています。事実、Bill Morrisonは日本に調査に来てますし、David Holmgren(実は7月に会いに行きました)も日本に来た際に残したコメントが、「日本にはすでにパーマカルチャーがある」でした。実はドイツにも同様の古くからの知恵がたくさんあるようです。

森林文化アカデミーの「森からはじまる持続可能な暮らし」というコンセプトもパーマカルチャーのゴールそのもの。David Holmgrenにアカデミーのことを話したら「まさにパーマカルチャーの学校だ」と言ってくれました。

そんなパーマカルチャーですが、授業としての課題は山積み状態。。。通常の授業枠で理念を伝え実践をするとなると、時間が全く足りず、始まってから5年以上が経とうとしているのですが、実践サイトは放置状態になりがち。(2年で学生は卒業するし、授業時間外に手入れする人が少ない)

でもこれまたパーマカルチャーの理念の一つである「Problem is Solution(問題や課題は解決への道しるべ)」という言葉を信じて課題を解決作へとつなげていきたいと思っています。

課題盛りだくさんではありますが、今年もパーマカルチャーの授業を実施しました。前期はパーマカルチャーセンタージャパンの本拠地を訪問。代表の設楽さんから基本理念の説明とパーマカルチャーの考えを元にデザインされたサイトを見学しました。

後期は、パーマカルチャー中部代表の庄司正昭さんを講師に迎えアカデミーのサイトのデザインを始めました。デザインと同時に、「踏圧などで固まりすぎて水や空気の循環ができてない」地面を排水パイプや竹、炭、などを埋め込むことで再生する作業も行いました。

また、土壌改良のために、くん炭を籾殻から自分たちで作ってもみました。見聞きしたことはあるものの実際に作ったことのないくん炭づくりにトライ!(卒業生のとっさんこと加納吉廣さんに籾殻をたくさん提供していただきました。ありがとうございます)日本の里山の伝統的な知恵の一つに触れる良い機会でした。

部屋の中でデザインするだけでなく、実際に体を動かし作業することで学生さんたちも何かしら吸収してもらえたのではないかと信じています。

世界じゅうに残る自然と付き合うための知恵や技術と、新しい技術を混ぜ合わせたパーマカルチャーは、日本でもドイツでも、先人たちの知恵をもう一度思い出させてくれるよいきっかけなのかもしれません。

森林文化とパーマカルチャー、めちゃくちゃ遠いようで、実はとっても近い関係なんです。

なんちゃって先生 萩原ナバ裕作