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2022年09月20日(火)

パソコン利用! かんたん構造解析

木造建築の新しいかたち(その190)木質構造に関する住育の取り組み
実務者のスキルアップをする住育:専門技術者研修「木造建築の構造性能検討ツール演習」を開催しました。
「木造建築の性能設計は難しい」と感じている建築実務者は非常に多いと思います。本研修では、パソコンを利用して、木造建築の性能を検討する演習を行います。パソコンを利用することで、木造建築の性能検討を比較的容易にできるようにすることが目的です。

研修の様子

地震建築基準法では大地震に対して「倒壊防止」という基準であり、換言しますと、「壊れてもいい、倒壊しなければ・・・」という基準です。大きな地震が発生すると同規模程度の大きな余震も生じますので、技術的にはこのような複数回の大地震に対する検証なども必要であると考えます。その検証方法の一つにWall Stat Studioの利用があります。

この研修では、複数回地震の検証も可能なWall Stat Studioを利用した解析を行います。後半では参加者各自のプランを入力して解析を行い、最終回の公表会にてその報告をしていただきます。

第5回は、講評会を実施しました。各自これまで実施してきたモデル作成とその解析および検討について、研修参加者の皆さんから発表をしていただきました。講評会には、wallstat開発者の中川貴文 先生(京都大学 准教授)にも御参加いただき、それぞれの報告に対してコメントいただきました。

研修の様子

 (1)「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(通称グレー本)のモデルプランのWallstatによる検証」

研修の様子

 (2)「木造2階建て住宅の耐震性能の検証」

研修の様子
 (3)「外周のみ耐力壁プラン、四隅耐力壁無しプラン、平面不整形プランの検証」
 (4)「性能表示耐震等級3モデルの検証」
 (5)「熊本地震波を用いた耐震性の検証」

また、中川先生から「Wallstatで考える建物の耐震性」を御講演いただき、今後の実務で非常に役に立つ内容のお話を聞くことができました。

質疑なども活発にあり、皆さん熱心に研修に参加されていました。

参加者の皆さんは報告資料を取りまとめるために、試行錯誤しながら数多くの解析などを徹夜で取り組んできたことと思います。大変お疲れ様でございました。

しかし、これで研修は終わりますが、実務で実際に使っていく「本番」はこれからになります。今後もより一層安全・安心な木造建築に取り組んでください。

教授  小原 勝彦