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2017年04月27日(木)

ドイツBW州の森林環境教育施設とは

ドイツ報告会第三弾、今夜は萩原ナバ先生の「ドイツBW州の森林環境教育」施設の紹介とその周辺事情です。

「森林環境教育」ってどんなイメージですか? ドイツの人々は、成人でも、老人でも、子どもでも、親子でも、カップルでも、様々な人たちが「森」をリフレッシュする場、憩いの場、楽しい場として利用しています。

BW州には様々な環境教育施設がありますが、今回はWaldehaus Manheim、Waldhaus Freiburg、Haus des Waldes、Wald Scっfhulheim Burg Hornberg、の4施設について報告します。

Waldehaus Manheimは一団体が半日体験すると約5000円で対応してくれる。BW州では90科目にも渡る森林環境教育の指導者育成プログラムがあり、週内各施設で展開。この施設もその一会場となってます。森林環境教育の指導者になるには、最低でも2年はかかり、1講座1日8000円のプログラムを相当数履修した上に厳しい実地試験をクリアしないといけないそうです。時間もお金も実力も必要です。この施設の運営は、専従フォレスター1人とパートタイムの会計の1人の人件費プラス、行政から200万円、企業から100万円、参加費が150万円。専従フォレスター一人でなんとか回せるのは、多くのフリーランサーやボランティア(といっても有償)スタッフに助けられているからだそうです。

多くの環境教育施設では、森林文化アカデミーの久津輪先生も指導されている削り馬によるグリーンウッドワークがプログラムとして利用されているそうです。

次は、Waldhaus Freiburgです。BW州で第二の都市、フライブルグの町中にある施設。

年間26000人が利用しており、団体用のプログラムや施設貸出し、カフェ、ケータリング、誕生会まで実施されます。スタッフ13名でも予算は6.5人分しかない。他にフリーランスの指導者50名、ボランティア2名を財団で運営。

ここの特徴は、「Wald Enhsltung Abgabe」というシステムで、あのIKEAが工場建設のために開発した森と同じだけの価値(生態系としての価値=自然資産)の資金を出してもらっている。

ちなみに一週間同じクラスが毎日通う、連続プログラムを年間40校に提供しているそうです。

さて、3つ目は Haus des Waldes、この建物の入り口には、スーパーマーケットにあるカートに木材が入れて、多数展示してあります。さて、これは何を意味しているでしょうか。・・・私たちの生活のバックグラウンドには森の存在がある。森の恵みがあってからこそ成り立つメッセージを発信しているのです。

本日は愛知県や三重県、岐阜県各地からお越し下さった方々と学生たち、教職員が聴講し、約60人の人で一杯になっていました。

このHaus Des Waldes は年間45000人の人が訪れ、一般向けプログラムを年間に100本実施する。早朝プログラムや夕方プログラムも豊富ですが、スタッフは21名ですが、経費は12人分しか無いそうです。他の教育施設でもそうでしたが、限られた予算(人件費)で運営するために、フルタイムはごく少数で、あとはみなさんフリーランサーと呼ばれる仕事の方が多いようです。ドイツでは、主となる仕事の労働日数を調整でき(それでもある程度までは社会保障がもらえる)、残りの時間を好きな仕事や社会活動(パート)に関わる人が結構いるようです。そうした労働システムを上手く活用することでなんとか回しているようでした。(このシステムにも色々課題はあるようですが)

最後にWald Sohulheim Burg Hornbergです。ここは「青少年森の家」を意味し、お城を利用した立派な施設があり、年間1500人が利用するが、2年先まで予約で埋まっている。

 

ここの特徴は子どもたちが「森林労働」をすると、子ども一人あたり約1000円が施設側に収入として入るシステムがあるそうです。そしてその分安くとまることができます。森林労働付きの5日間プログラムは約10000円。

内容的にはツリークライミングやチームビルディングmエコツアー、アドベンチャー、クラフト、森林作業など他の施設同様「森」を幅広くとらえた活動を展開しています。

初めて森に入る子どもが、森林官の指導の元、斧で伐採する。森林労働無しの場合は、3日間のプログラムで10000円だそうです。

この施設は食事にも、地域素材を活用し、どこからどのような素材が来ているのかを掲示してあり、「食育」にも踏み込んでいる。森と暮らし(家・暖房・食事など)全てをつなぎます。

今回紹介した施設には必ず、『FORESTER(フォレスター)』が常駐し、運営やプログラム指導している。環境教育施設の要は「フォレスター」なんです。

そして、有能なフォレスターたちを育てたのがロッテンブルク大学(HFR)とフックス教授なのです。フックス先生は昨年も11月~12月に森林文化アカデミーを訪問してくださいました。

このフックス先生に学ぶため、今年も9月21日~10月1日、「ドイツの森林環境教育を学ぶ」と称して、ドイツに行きますよ~! とナバ先生から告知。

最後にドイツでは

・森と人をつなぐ「総合的な」アプローチがある

・都市近郊と郊外に点在する施設のネットワークがあある

・社会の課題を森の空間を活用して解決している

・多様な労働システムと  大学生、ボランティアを活用している

・学校教育との連携をしている

・社会の一員としての意義がある

・森林庁(林野庁)やフォレスターの教育への理解・関心度が高い

では、「なぜドイツでこれほど森林環境教育が充実しているのか?」

それは第一に、老若男女みな森が好き、離れてしまった「森と人」「林業と暮らし」をつなぐため、森でおこなうESD、林業の就業イメージを体験してもらうため。・・・なるほど。

以上報告。JIRIこと川尻秀樹でした。