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2018年09月07日(金)

エンジニア科野外宿泊実習、川下から川上へ、木材の流れを知る

今回のエンジニア科1年生の野外宿泊実習では中津川市にコーディネートしていただき、1泊2日で付知町や加子母の林業・林産業の現場を見学しました。予定では裏木曽と呼ばれる地区の国有林に行き御用材の三つ緒伐りを行った現場を見る予定でしたが、先日の台風21号により林道が被災したので、急遽予定を変えて付知や加子母の製材や工務店の視察を行うことになりました。

 

まず始めは護山神社を見学しました。ガイドとして裏木曽古事の森のツアーを実施しておられる三浦さんと前川さんに案内して頂きました。

 

ガイドの三浦さんと前川さんです。三浦さんは現在、優良材生産クラブとして活動、前川さんは元森林管理署の職員とのことです。

 

ご神木が室戸台風で被害を受けて、その後切り倒すことになったので、境内にその円盤を展示していました。(ご神木はもっと山奥にあります)。目通り周囲が7m、樹齢は950年というヒノキでとても驚きの大きさでした。今は谷をはさんで反対にあるヒノキを2代目大ヒノキということで祀っています。

 

ちなみに今回は残念ながら見ることは出来ませんでしたが、2代目大ヒノキ、斧入れ式の三ツ緒切り跡をめぐるツアーを付知町観光協会が企画しております。

裏木曽古事の森ツアー 中津川市観光情報サイト

http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/kankou/info/2018/04/post-42.html

 

続いて丸博建築さんです。

棟梁に伊藤博さんに加工している現場を案内してもらいました。

とても巨大ですがケヤキの1枚板です。

木材を乾燥させるときは、元を下、末を上にして立てておくと水が抜けやすいなど、いろいろな知恵を教えてもらいました。寺社仏閣を扱う工務店が少なくなっているため、注文が集まって大変とのこと。四国など遠方にも行くことがあるそうです。

 

明治座で昼食をとりましたが、ちょうどNHK「旅ラジ」という収録をやっていました。北海道の地震の関係で生放送にはなりませんでしたが、公開収録をしていました。アカデミーの学生も「旅ラジ!」という掛け声だけ参加しました。明治座は築120年以上の木造建築で、県の文化財に指定されています。屋根は杮葺きになっているなど、木の使われ方の勉強をすることが出来ました。

 

 

 

続いて中島工務店さんです。現在は大阪の彩都のモデルハウスの部材を加工しており、特殊な加工機械や木の組み方を見ることが出来ました。

対応していただいたのは協同組合東濃ひのきの家のセンター長中島さんで木表、木裏、高温乾燥と低温乾燥など、木に関する基本的なことから丁寧に説明していただきました。これは集成材の工場です。

 

続いて伊藤林産です。現社長で3代目で創業100年近い長寿企業ですが、ポイントは需要の先読みが大事とのこと。

買い付けた原木の良しあしについて解説してもらっています。最近は柱の需要が少ないため、柱を挽くついでに外側で板をとって販売しているそうです。

 

最後は加子母森林組合さんの原木市場を見に行きました。実際に原木を見ながら、どの木が高く売れるのか、枝打ちの跡の見方、年輪の詰まり方の良しあしなどを教えてもらいました。今日は工務店、製材所、原木市場の順番で見て回ったということで、木の需要先から供給先に向かって見学をしていきました。

対応して頂いたのは加子母森林組合参事の安江さんです。木を見るとだいたいどの値段で売れのか、すぐに答えてくれます。木の見方を勉強することが出来ました。

 

2日目は中津川市有林での伐採現場を見学に行きました。60年生のヒノキ林分を間伐しており、プロセッサなどの高性能林業機械を使った伐採搬出作業を行っていました。

この現場で仕事をしているのは、森の樹林産株式会社で、社長の作本さんに機械の使い方から間伐の方法まで教えてもらいました。

学生が何名かプロセッサに乗せてもらいました。まだ重機の勉強をしていないので、操作方法は一から教えてもらいました。林業の仕事の一部を垣間見ることが出来たと思います。

 

台風の被害やあいにくの雨により、予定していたスケジュールとは大幅変更になってしまいましたが、加子母の製材所、工務店、原木市場、山の素材生産現場など木を伐るところから使うところまで、盛りだくさんの内容で見学することが出来ました。調整していただいた中津川市には感謝申し上げます。ありがとうございました。

杉本