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2016年04月01日(金)

まさか、自分がこんなに必死になるとは!思いも寄らなかった創作活動にかなりいつも使わない頭を使いました。

美濃市との包括協定の1つとして、持続可能な社会を目指す『MOTTAINAI工房はじめますin小倉山』を開催しました。

昨年2月から数えて4期目の突入。1期・2期は、昨年5月イブニングセミナーにて報告させて頂きました。

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4歳児の作品『やま』

この取り組みは、文化と子どもを真ん中においたまちづくりで、世界的に注目を集める、レッジョ・エミリア・アプローチをヒントにはじめた実験工房です。今回は廃材に加え、木の実・枝・葉っぱ・石等、自然物を収集し、素材が価値のあるものへ変わる瞬間を体感することと、「ケア」の日常化について模索しました。また、3期目から取り組んだ、小学生が幼児に関わる、小学生スタッフの養成も引き続き模索しました。

「身近な山と暮らしがつながらない」

木育が目指す、森と人の関係を取り戻すことをカタチにするために、美濃市民にとって身近な山「小倉山」をフィールドとして子どもにとって大切な生活である「遊び」と山をつなげる試みをしてみました。しかし、日常生活は人工物で溢れており、それを無視することは出来ません。そこで、小倉山から収集した自然物と、自宅から持ち寄った人工物をどのようにクリエイトするか?そんな実験的な取り組みでした。

基本データは以下の通りです。

「MOTTAINAI工房はじめます」in小倉山

実施日時:平成28年2月7日(日)13:00~15:30

15日(月)・22日(月)・29日(月)各回17:00~18:30

実施場所:「やまびこ」及び小倉公園

※会場は、NPO法人やまびこのご協力で実現しました。

参加者:7人(2歳~小学1年)+保護者4人+小学生スタッフ4人(小学3~5年)の計15人

主催:美濃市子ども創造館事業(美濃市教育委員会×森林文化アカデミー)

※今回初めて乳幼児まで参加者としました。

 

講座の流れは以下の通りです。

先ずは、「小倉山に宝物を捜しに行こう!」

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そして、「小倉山の宝物をケアしよう!」(小学生スタッフがサポート)

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さらに、「集めてきた自然物と人工物を併せてケアしよう!」

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「木のトレイの上に選んでならべて、なまえ(タイトル)をつけよう!」(小学生スタッフがサポート)

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4歳児の作品「かお」

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写真を撮ってもらい、素材はもとに戻します。

写真はポストカードにしてプレゼント!

保護者の皆さんの作品も紹介します。冒頭のコメントの通り大人も真剣です。

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「頑張る汽車」

保護者の方からの感想です。

子どもたちの発想や想いを形にする力はとても素晴らしいことと感じ、大人が忘れていた何かを思い出させてくれたり引き出してくれた、貴重な時間だったと思いました。

また、特に小学生の子どもたちが自分でやりたいのを押さえ(わきまえて)、小さい子の面倒を辛抱してみている姿、そして、きちんと最後まで自分たちの仕事をやり切ることをやっていたことが、とても素晴らしかったです。

さて、「もう一つであり、これがすべてともいえる」大切にしてきた「ケア」と言う概念。レッジョ・エミリア・アプローチの視察で共感し、取り入れたのですが、置き換える良い日本語が見つからず、そのまま使っています。あえて言えば、「気遣う」「手間暇を惜しまず」と言う感じでしょうか?作品空間だけでなく、生活空間も美しくすることを目指す概念であると思いました。レッジョ・エミリア・アプローチをけん引したローリス・マラグッツィは以下の言葉を大切しています。

「空間は第3の教育者である」

そこで今回も、こんな実践も取り組みました。

脱いだ靴、着てきたマフラーやコートをケアすることを大人の願いとして伝えました。

「空間全体が美しいことが大切である。そうすれば、子どもは美を探し求めるようになる。」

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幼児たちは、回を重ねるごとに・・・最後にはスタッフがやる会場の現状復帰まで「やりたいこと」になってしまいました。

これにはとても驚きました。

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保護者の方から後日こんな感想を頂きました。

「やまびこ」という、「家」とは違う空間、お姉さんやお兄さんに関わってもらえること、他のお友だちと「何か」ができること、最後のおやつも、楽しみの一つになっていたと思います。

2点、印象的でした。ひとつ目は「ケア」についてです。初回のケアで、私のマフラーを丁寧にたたんでくれたこと、次回には何も言われなくても園服をたたんでいたこと、靴も自分のものだけでなく、他の人のも揃えていました。 工房から帰ると、我が家の玄関の靴もきっちり揃えてくれ、脱いだままにして上がってくる夫は娘に叱られて?いました。

二つ目は、自ら役割を求めたことです。おやつの準備は、子供たちは誰もがやりたがりました。

小学生がやっていたことを自分もやりたくてやりたくて…。いつもは私に引っ付いていることが多いのに、お友だちと協力して、飲み物のメニューを大人に聞いて回る姿は、親離れ?の姿であり、とても嬉しく感じました。

少しの変化ですが、子供たちは小さな成長を繰返し繰返し目に見えないほど少しずつの成長を遂げていくとおもいます。このような機会を子供たちに継続的に作ってあげることが、子供にとっても大人にとってもいいことだと思います。大人が成長出来ます。そんなことを感じました。

4期目を終え、レッジョ・エミリア・アプローチと木育の親和性を改めて実感しました。また、(視察で盛んに出て来た)心理学者レフ・ヴィゴツキーの唱える「発達の最近接領域」という概念がやっと腑に落ちて来ました。29年度は、さらに実践を積み重ね報告出来ればと思います。

記:松井勅尚