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2026年11月02日(月)

【視察報告】ドイツ・オーストリアの林業と林産業を視察しました ③ロッテンブルグ林業大学の施設見学

 令和8年10月9日(金)~18日(日)の行程(※移動込み)で、「ドイツ・オーストリア森林・林業視察2026」に参加しました。

【参考記事】

【視察報告】ドイツ・オーストリアの林業と林産業を視察しました ②自然保護の考え方について

 今回はこの行程における12日(月)の、ロッテンブルク林業大学の施設見学について書きたいと思います。
 ロッテンブルク林業大学は、創設から約70年と比較的新しい大学で、8つの学科(うち修士課程は3学科)を持ち、学生数1,000人と、比較的こじんまりした大学です。林業と森林科学を学ぶ大学は国内に8つあるそうですが、そのうちの1つであり、学問だけではなく民間企業との連携に力を入れた取り組みを行っているそうです。つまりは基礎研究だけに留まらず、実用的な課題解決に取り組んでいるというのが特徴であり、教授も実務経験がないとなれないそうで、また学生も2割くらいが社会人経験者で、そういう点ではアカデミーと似ています。
 この日は学内の各種施設のほか、「ドイツにおける私有林と助成金制度」についての説明と演習林を案内していただきましたが、個人的に興味深かった事をピックアップして説明させていただきます。

【大学の正門 元々は貴族の屋敷だったそうです】

【バイオマス発電について説明して頂いたペルツ教授】

 

【ロッテンブルク林業大学の施設案内~バイオマス発電とペレットについて】

 ペレツ教授は木材技術学と木材の化学変容を専門としており、以下の3部門に取り組んでおられました。

  ① 燃料としての木質について

  ② 設備の技術開発~高効率化

  ③ 建築材としての利用

 特に最近(ここ10年)は、如何にして高品質のペレットを製造するか?という、企業からの持ち込み依頼がよく来ており、製材所・設備会社・大学の3者で連携して良質なペレット製造に関する研究を行っているそうです。というのも、ペレットの材料はおがくず等なのですが、どう配合すれば高カロリーで、しかも適度な硬さを有するものが出来るか?という「配合の適切化」が目下の課題となっており、背景としては「昨今の気候変動などもあって降雨が少なく、立ち枯れするトウヒなども増えており、これを有効活用したい。」という思いと、「国内の状況を見ると単価としてはパルプの方が良いのでこちらに流れがちであるが、これは健全な状態とは言えず、国内供給のバランスを考えるならば、もっとペレットを使ってもらいたいし、そのためには高品質なペレットを生産出来るようにしなければならない。」という思惑があります。

【ペレットの製造機械】

 

 備忘のため、お話を伺った事柄を列挙させていただきます。

・0.5㎜の大きさのおが屑を機械に投入して圧縮する。その際温度を110~150℃にして固めるが、この時リグニンが変質し、糊のように固まる。
・立ち枯れした木は含水率がまだ高い状態なので、これをどれだけ投入できるか?が課題
・良いペレットの条件
 1)大きいこと
 2)純度が高いこと
 3)耐摩耗性を有すること(移動~保管の過程で摩耗したり砕けるため)
 4)比重は1.2が適切
・立木で考えると、3割が純粋な木質材料で7割は空気(この空気を圧縮して全部木質にしたい)
・樹皮は燃焼効率が高いが、灰も多い(出来るだけ少なくしたい/一般家庭で使う分には問題ないが、企業で使うとなると課題になる)
・スギのペレットは性能良い。うまくいかなかったのであれば、スギはヤニ成分が多いため、極力細かく砕く必要があるのと、着火点が低く、うまく燃焼させないとすぐ燃え尽きるためと思われる。
・最近は森林由来の材料と、農業由来(カカオの皮など)の材料をまぜてうまくいくか?という事もやっている。
・燃焼の持続性も大事だが、排出ガスも課題(発ガン性があるから極力排出しないようにする)
・木を余すことなく使う事が、林業家の収益増につながると考えている。
・リグニンを合板の接着剤として使えないか?という研究も行っており、現在そこそこの性能を有するものが出来ているが、コストが課題(従来の石油由来のものの倍)
・いずれ針葉樹が枯渇するのではないか?という懸念から、広葉樹を使った集成材で構造材が出来ないか?という研究もおこなっており、実は実験棟の梁は針葉樹と広葉樹の集成材である。

 色々お話を伺い、木材の物性について興味を持ち、現在木材の乾燥技術について課題研究に取り組んでいる身としては、木材の多様な可能性について教えていただき、誠に興味深かったです。

 

木造建築専攻 高木 始