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2026年10月29日(木)

森林文化アカデミーのグリーンウッドワーク①

森林文化アカデミーは、日本の木工教育機関の中で最も早くグリーンウッドワークを採り入れた学校です(何しろ筆者が普及活動を始めた2006年当時、日本でグリーンウッドワークをしている人は私を含めて3人しかいませんでした)。

木工専攻では、1年生の夏から秋にかけてグリーンウッドワークのスプーン製作と椅子製作を行っています。

木のスプーン

 

スプーン製作は、学内から材料を調達します。今回は直径8cmほどのヌルデを1本切りました。まだ日差しが強い9月下旬、学内のウッドデッキにタープを張って日陰を作り、作業を開始。

木工の職業訓練校などでは家具製作を中心に指導するので、材料は人工乾燥をかけて反ったり縮んだりしづらいものを使うことがほとんどです。一方、森林文化アカデミーでは、生木を手道具で削るという原始的なやり方を通じて、さまざまな樹木の特性だけでなくものづくりの文化や歴史についても学ぶことを目的にしています。

ヌルデの木を伐る

タープの下で作業する学生たち

 

スプーンづくりに先立ち、斧とナイフの使い方を詳しく教えます。テキストはもちろん、筆者が自ら書いた『グリーンウッドワーク・増補改訂版』。

グリーンウッドワークの本を見ながらナイフで削る

スプーンの製作にあたっては、有名作家のものを含め、いろいろなスプーンのコレクションを実際に使ってヨーグルトを食べてもらいました。ただ作るだけでなく、使いやすいものを作るのが大切だからです。同じように見えても、使い比べてみると違いが分かります。

いろいろなスプーンでヨーグルトを食べる

 

作業は斧による成形が全体の7割ほどで、ナイフは3割ほど。意外かもしれませんが、大きく重い斧で削り、できる限りスプーンの形に近づけておくことで、次のナイフの作業が楽になります。

斧でスプーンを削る

スプーンを削る

 

こうして丸一日かけて作ったのが、冒頭の写真のスプーンでした。初めての作品としてはとてもよくできています。

森林文化アカデミーの卒業生の中には、グリーンウッドワークを生業として全国各地で指導する人や、グリーンウッドワークの団体を運営する人もいます。森に親しみ、作る喜びを味わってもらう手段として、グリーンウッドワークを活かしてもらえればと思っています。

椅子製作の授業の様子は、また改めて。

 

久津輪 雅(木工・教授)