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2026年07月06日(月)

【視察報告】㈲藤吉鋸加工所を視察しました

木造建築専攻の畑佐です。

7月2日に岐阜県関市の藤吉鋸加工所を訪問し、岐阜県中濃地域における目立て業の歴史と現在の状況についてお話を伺いました。

 

藤吉鋸加工所は1972年に法人化されていますが、実際にはそれ以前から長く目立て業を続けています。

現在は4代目が社長を務めており、今回は藤吉俊介社長と藤吉英司取締役のお二人に工場内を案内していただきながら、さまざまなお話を聞かせていただきました。

その一部をまとめます。

(工場内のようす)

 

かつて山県市美山町には60社以上の製材所があり、杉の天井板の産地として全国的に知られていました。当時は帯鋸の需要も非常に高く、地域内には5社もの目立て屋が存在していたそうです。

しかし現在は60社あった製材所が5社ほどにまで減少し、目立て屋も藤吉鋸加工所と、もう1社が細々と続けている程度になっています。

 

藤吉鋸加工所でも、かつては製材用帯鋸だけで事業が成り立っていたそうですが、製材所の減少に伴い、10年ほど前からメタルソー(金属用丸ノコ刃)や紙裁断機などの長尺刃物、リサイクル用刃物など、多業種の研磨へと業務を広げてきたとのことです。

現在はこれらが主力となっており、製材用帯鋸の割合は極めて少なくなっています。

 

工場内を見学して特に印象的だったのは、穿孔帯鋸や両刃帯鋸といった特殊な帯鋸を主に扱っていた点です。

美山町では良質な杉板材を生産するため、切削後に板表面へ付着するおが粉を効率よく落とし、錆びを防ぐ必要があります。両刃帯鋸や穿孔帯鋸は、このおが粉を鋸外へ排出しやすい構造になっており、こうした地域特有の製材条件に適していたため導入が進んだそうです。

 

そのため、これらの特殊帯鋸は全国的にはほとんど普及していませんが、美山町では明確な需要があったとのことでした。

一方で、専用の調整が必要で手間もかかるため、これらの帯鋸を扱える目立て屋は非常に少ないのが現状です。そうした中で、藤吉鋸加工所はむしろこの特殊帯鋸の加工を得意としており、地域の製材を支える重要な存在になっていると感じました。

(両刃帯鋸)

(目立て機に調整器具が必要)

 

現在の事業の様子や課題についても伺いました。

藤吉鋸加工所では現在、製材用帯鋸の目立ては3代目が一人で担当しており、4代目には継承していません。3代目の引退とともに製材用帯鋸の仕事は撤退する予定で、地域における帯鋸目立ての存続が深刻な課題となっていました。

 

また、機械や電気の修理を担う人材の減少も事業継続を難しくする要因になっていました。機械による目立ての自動化が進む一方で電気系統の故障が増え、直せる人がいないことが大きな課題になっていると話されていました。

古いアナログ機の方が長持ちするという現場の実感も印象的でした。

 

今回の視察では、地域の製材文化とともに歩んできた目立て業の歴史、特殊帯鋸の技術、業界全体の高齢化や後継者不足、自動化と機械故障の問題など、現場のリアルな課題を知ることができました。

これらの情報は、目立て技術の継承や導入資料の整備を考えるうえで非常に重要な視点になると感じています。

 

終始温かい雰囲気で迎えていただき、お話も大変興味深いものでした。

社長をはじめ社員の皆様、お忙しい中丁寧に対応してくださり、ありがとうございました。

 

 

木造建築専攻 畑佐