【アニュアルレポート2025】架線技術者育成の取り組み
架線技術者育成の取り組み
准教授 杉本和也
目的
急傾斜地や路網開設が困難な現場において、架線による集材作業が必要であるが、架線技術者の高齢化により、架設ができる人材が不足している。アカデミーでは、林業架線作業主任者の資格取得のための法定講習100時間を実施しており、架線に関わる知識や法律に関わる学科講習、エンドレスタイラー式の架設実習を行っている。しかし架設には現場ごとに異なる技術が必要であり、技術習得には架設経験を多く積むことが重要であるが、法定講習では一度の架設のみであり知識や技術を十分に身に付けることはできない。また従来の集材機に加えて、欧州式の特殊搬器を使用したタワーヤーダやリモコンによる自動制御の集材機や自走式搬器も普及しており、新たな技術に対応した技術者を育成することも必要である。アカデミーでは2025年度より、架設技術のさらなる習得やタワーヤーダなど新たな架線系機械に対応ができる技術者を育成するための高度架線技術者育成プログラムを作成し、人材育成を行っている。2025年度は、法定講習でのエンドレスタイラー式の架設に加え、ダブルエンドレス方式、欧州式タワーヤーダの架設、自動走行可能な自走式搬器の架設を行った。それぞれの架設の概要を紹介する。
概要
架設を行ったのは、エンジニア科2年生の林業コース、クリエーター科林業専攻の学生である。架設はダブルエンドレスとタワーヤーダの2種類である。それぞれの概要を以下に示す。
タワーヤーダ
タワーヤーダの支間水平距離は355m、高低差は139m、主索は16mmの圧縮ワイヤを使用した。中間地点で主索が地面に近接する箇所があるため、1か所中間支柱を設けた。タワーヤーダはアカデミーが所有するチェコ製のLarixLamakoでトラクター搭載型である。タワーヤーダは、トラクターのTPOおよびコンプレッサーによる圧縮空気による制御で駆動する。搬器はオーストリアのマイヤーメルンホフ社のShelpaU3である。

ダブルエンドレス
ダブルエンドレス方式の支間水平距離は240m、高低差69m、主索は16mmの圧縮ワイヤを使用した。

自走式搬器
自走式搬器の支間水平距離は394m、高低差は125m、主索は20mmを使用した。自走式搬器はイワフジ社製のBCR130Bである。
縦断面図

架設工程は、①道具等の準備作業、②機械の据え付け、③先柱、元柱設置、④リードロープ引き回し、⑤作業索(エンドレス索)引回し、⑥主索引回し、⑦主索の張り上げである。ダブルエンドレス方式では、以上の架設工程に加えて荷上索(エンドレス索)引回しが必要である。タワーヤーダの場合は、②機械の据え付け、③元柱設置、⑦主索の張り上げ作業が大幅に省略されるが、それ以外の工程は共通しており、ダブルエンドレス方式、タワーヤーダ、自走式搬器の3種類を架設することで、架設に関わる工程全体を理解することが出来た。
ダブルエンドレス方式では、元柱、先柱合わせて滑車30個、控索17か所所取り付けを行った。エンドレス索2本を使用するため、滑車の取り付け箇所が多くなるのが特徴である。一方、タワーヤーダでは、元柱を作成する必要がないため、中間支柱と先柱と合わせて滑車6個、控え索12箇所とダブルエンドレス方式と比較して大幅に作業を短縮できた。搬器の動作は、ダブルエンドレス方式とタワーヤーダ同じであるが、タワーと特殊搬器の使用により、タワーヤーダの方が大幅に架設を短縮できることを履修学生に理解してもらうことが出来た。
教員からのメッセージ
傾斜が急な地域では林業架線による搬出が欠かせない。高齢化により架設できる技術者が少なくなっているが、タワーヤーダ、自走式搬器、油圧式集材機など最新の架線系機械を導入する現場も増えており、引き続き架線技術者の育成に取り組んでいく。
活動期間
2025年~
関連授業・課題研究&関連研修
エンジニア科 林業コース 林業架線、架線応用
クリエーター科 林業専攻 林業架線
過去のアニュアルレポートは、ダウンロードページからご覧いただけます。
