【アニュアルレポート2025】日独連携シンポジウム (木造建築分科会)
日独連携シンポジウム (木造建築分科会)
教授 小原勝彦
【目的】
平成26(2014)年、森林文化アカデミーはドイツ・バーデンビュルテンベルク(BW)州のロッテンブルク林業大学(HFR)との間で教育連携の協定を締結した。日独の木造建築教育に係る連携については、当初【第Ⅰ期】は建築教員間の交流が主であったが、徐々に学生も交えた交流【第Ⅱ期】として、木造建築デザインWS(2017年~2018年)、木造建築協同設計WS(2019年)、HFR木造建築学生来日研修(2019年)、木造建築デザインWS(2021年~2022年、Web開催)などが活発化してきた。教育交流の集大成の一つとして節目ごとに開催してきた日独木造建築シンポジウム(2016年・日本, 2017年・日本, 2023年・ドイツ)がある。本報告では、「日独連携シンポジウム(木造建築分科会)」(2025年・日本)について報告する。
【概要】
【第Ⅰ期(2014~2017)】 教員によるドイツとの連携活動の模索(情報把握・計測化)
当初は、連携活動内容を模索するため、建築教員が訪独しドイツの現状を把握したり、ドイツにおける建築の水準(性能レベルや法令関連など)をリサーチしたりした。日独木造建築シンポジウムを開催してその成果について報告した。
第1回日独木造建築シンポジウム(2016年、会場:森林文化アカデミー)では、ルドガー・デデリッヒ氏(HFR・教授) 、長井宏憲氏(隈研吾建築都市設計事務所)よる講演をした。
第2回日独木造建築シンポジウム(2017年、会場:森林文化アカデミー)では、ルドガー・デデリッヒ氏(HFR・教授)、山崎真理子氏(名古屋大学農学部・准教授)、小泉雅生氏(首都大学東京大学院・教授)による講演をした。
【第Ⅱ期(2017~2025)】 学生を交えた交流・活動(国際化)
教員のみならず、建築専攻学生を交えたドイツとの交流を進めていくため、木造建築デザインWS(2017年~2018年)、木造建築協同設計WS(2019年)、HFR木造建築学生来日研修(2019年)、木造建築デザインWS(2021年~2022年、Web開催)などをおこなった。その成果を第3回日独木造建築シンポジウムにて報告した。
第3回日独木造建築シンポジウム(2023年、会場:ドイツ ロイトリンゲン)では、司会はルドガー・デデリッヒ氏(HFR・教授)によって進行され、ピーター・フォーク氏(BW州 農村栄養・消費者保護省 大臣)、前川信孝氏(在ミュンヘン日本国総領事館・日本総領事)、涌井史郎氏(岐阜県立森林文化アカデミー 学長)、トーマス・ケック氏(ロイトリンゲン市長)より挨拶をいただいた。続いて、隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所)、ペーター・シェレット氏(教授・シュトットガルト)、辻充孝氏(森林文化アカデミー 教授)、シュテファン・ビルク氏(教授、シュトゥットガルト/ミュンヘン)、トルステン・ヘルビッグ氏(教授・シュトゥットガルト)、小原が講演をした。
【第Ⅲ期(2026~)】 地域性を配慮し、根拠を有した木材利用の推進
日独の木材活用における発展的連携へ向けて、「日独連携シンポジウム2025 -木造建築分科会」を開催した。連携実績報告を中村恭氏 (岐阜県 林政部 県産材流通課 木造建築推進室 消費対策係 係長)、森林文化アカデミーの辻先生、松井先生、小原にて実施し、この4名をパネラーとしたパネルディスカッションを実施した。
その後、ドイツとの連携活動展示や学生による木造建築専攻の活動展示として、参加者も交えたポスターセッションを行った。
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自力建設プロジェクトのほか、授業の成果物のパネル展示として「マルシェ架構の構造提案」や、課題研究の成果物の展示として「木質系パネル」などを実施した。林業関係や木材流通関係、木造建築関係の実務者や行政(国・県・市町村)の方々から、学生は有益なアドバイスやコメントなどを戴くことができ、非常に貴重な時間を過ごすことができた。
木造建築分科会の結果については、今後の木材活用へ向けた美濃宣言2025 (Mino Recommendation 2025):「日独の地域性を配慮し、根拠を有した木材利用を推進するため『情報の集約と展開』に取り組む(定性化・定量化、質的向上、日本らしさ)」としてまとめた。第Ⅲ期の連携活動の方向性を「地域性を配慮し、根拠を有した木材利用の推進」として、日独それぞれから発信されている情報を集約して、実務者や行政とのコラボレーションをしつつ実践的に展開していくことを目的に、根拠を有した木材利用を目指して取りまとめていく。

今後、最先端の情報や施設に触れることや現地の方から直接お話を伺うことなどもできる海外との交流を通じて、得られたものを取捨選択しながら地域性に配慮して日本の木造建築に応用していくことができる人材育成をアカデミーは担っていきたい。
