活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2026年04月22日(水)

新入生ガイダンス4日目「森林から木材、暮らしへ」(森林環境教育編)

<2026.4.16> 26期クリエーター科新入生のガイダンス、「森林から木材、暮らしへ」森林環境教育編を実施しました。

森林環境教育専攻の教員は4名。扱う領域は広く、その全体像を一度に伝えることは簡単ではありません。

そこでこの日は、教員それぞれがパートを担当し、フィールドを歩きながら、実際に体験することで理解を深めてもらうプログラムを行いました。


森でひらく、感覚と関係性

天気に恵まれたこの日。スタートは、森林教育総合センター「morinos」から。
まずは、morinosで行われている森林環境教育の取り組みについて紹介します。

ふと芝生に目を向けると、ぽつんと置かれたスーツケース。
中には、ヨーロッパに研修中のナバさんからの“指令書”が入っていました。

「黒ひげ危機一髪」のゲームで当たった人が、指令を読み上げます。

<指令その1> スティックを使ったコミュニケーション


<指令その2> 裸足で森を歩く


<指令その3> 気持ちのいい場所を見つけて静かにナバさんの記事を読む

五感をひらきながら、森と、自分と、仲間とつながっていく時間です。新入生からは、こんな声が聞こえてきました。

「靴って、こんなに窮屈だったんだ」
「学校の忙しさを忘れられる」

森の中で、少しずつ緊張がほどけていきます。

 


アカデミーがある場所を植物と地形から見る

続いては、柳沢先生のパート。アカデミーから小倉公園まで歩きながら、美濃市の植生や地形の特徴を観察していきます。

展望台にたどり着くと、目の前に広がるまちの景色。山と川に囲まれた、美濃市の全体像が見えてきます。

「美濃市は、濃尾平野の終わりに位置する“里山”です」

そして柳沢先生は、こう伝えました。

人は、自然の制約の中で生きていく

山があり、水の流れがあり、そこに育つ動植物。その恵みの中で人の暮らしが形づくられてきたことを、実際の風景から読み取っていきます。


まちの歴史を、暮らしでつなぐ

ここからは、谷口先生のパート。

まずは、まちの文化的な成り立ちから見る美濃市についてのレクチャーです。

美濃市の市標は、亀甲模様を3つ重ねた形。まちの形そのものが、亀の甲羅のようであることに由来します。「亀野町」という地名も、今も残っている、ということが伝えられました。

昼食は、それぞれが美濃のまちで自由に過ごし、まちの空気を感じます。

そして午後の会場は、谷口先生の自宅。築100年以上の古民家をリフォームした住まい。引き渡しは、なんと1週間前!できたてほやほやです。

この建物を題材に、「まちの歴史を引き継ぐ」という視点が語られました。

設計にあたっては、パーマカルチャーの考え方を取り入れ、まず1年かけて、太陽の動きや水の流れ、風の通り道、そして植生や生き物などを観察するところから始めたといいます。

さらに家づくりを通して、木材、土壁、畳、職人の手仕事など、地域の自然や文化とのつながりがみえてきます。

この建物は、もともと竹屋でした。小さな家の歴史をつないで<まちの物語>をつなぐ、そして里とまちをつなぐ<学びの場>をつくっていきたい

そう語る谷口先生。今後は中庭をフードフォレストとしてデザインし、地域に時折開く場として活用していく構想もあることが伝えられました。

谷口先生の取り組みは、人の暮らしがあるリアルなラボ。
木造建築や木工に関わる学生たちも、自分たちがこれからつくろうとしているものについて、<リアルな人の暮らしを通して考える>というアプローチに興味津々でした。

 


面白がることで、問いが生まれる

最後は、小林のパートです。

「課題を見つけるためには、“面白がり力”が大切です」

そう伝えたあと、実際にまちへ出てもらいました。グループで歩きながら、「顔に見えるもの」「気になるもの」を写真に収めていきます。

戻ってきて見せ合うと、

「なんでそれが顔に見えるの?」
「そこに気づくんだ!」

と、お互いの視点に驚きます。

同じものを見ていても、見え方は人それぞれ。自分の「認識」に気づくためには、他者との対話が欠かせません。

「多様な価値観を持つ仲間と学べる2年間は、とても貴重な時間です」

そう伝え、プログラムを締めくくりました。

 


 

こうして、「森林から木材、暮らしへ」の4日間が終了しました。
新入生たちの言葉からは、この4日間で起きた変化が伝わってきます。

「4つの専攻を体験して、境界が曖昧になっていく感覚があった

「自然には逆らって生きていけない。そういうことを理解できる人になりたい」

「正解・不正解ではなく、自分で生きていきたい」

「共育という言葉がしっくりきた。みんなと学び合うのが楽しみ」

また、

「自由でいい反面、不安もある」

「何者になるのか、これから探していく」

といった率直な声もありました。

それぞれが、違う視点で同じ時間を受け取り、自分なりの問いを持ち始めています。

偶然出会った19名の仲間。これからの2年間は、境界を越えながら、揺らぎながら、問い続ける時間になります。

ふりかえりの中で出た、ある学生のコメントに共感しました。

ゆっくり歩くことを意識したい

自ら大きな決断をして、社会人から学生になったクリエーター科のみなさん。急がず、しかし確かに進む ーー 回り道や失敗も大事。まずは全力で「学生」を楽しんでください。

これからの2年間が、実り多いものになることを願っています。

来週は、アウトドアチームビルディング。さらにお互いを知り合う時間が続きます。

<森林環境教育専攻 教員 小林(こばけん)>