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2018年05月24日(木)

「空間認識」ちょうどよさを探そう!

「ちょうどいいのがちょうどいい。」
とは、私が小学校のとき大好きだった図工の先生がよく言っていたセリフなのですが、当時は「何を当たり前のことを……。」と思っていました。

ところが美術、建築の世界に身を置くと、ほとんどの時間を「ちょうどよさを探す」ことに費やしていることに気がつきます。

この家のダイニングの棚は、どの高さがいいのか……?
窓は、どのサイズが、との位置がいいのか……?
もしかしたらこのリビングの天井高さは、ちょうどよくないのでは……?
外壁は本当にこの色でいいの……?

「ちょうどよさ」探求の日々です。
では「ちょうどよさ」とは、どうやって探すのでしょうか。それを探すための方法を「空間認識」実習で身につけます。

1日目は、「桂の湯殿」の平面野帳作成です。
今年の自力建設は「桂の湯殿」の改修がテーマなので、元の建物とその周辺をよ〜く理解していないと「ちょうどよい改修設計」ができませんね。理解すること。これが大事です。そのために実物の建物を見ながら、手描きで平面野帳を描いていきます。「桂の湯殿」は八角形の躯体なので、これがなかなかむずかしい……。みんな悩みながらもコンベックスを片手に何度も測り、柱や壁を描いていくうちに、設計者がどんな意図でデザインしたのか、どのような架構で成り立っているのか、ぐっと理解が進みました。今までぼんやりと覚えていた1メートルの長さも、始める前より正確に身につきました。

2日目は、「ほたるの川床」の展開野帳実測図作成です。
今度は内観を手描きで描き起こし、そこに実測寸法を記入していきます。
「この高窓は気持ちのいい位置にあるけど、床から何ミリの高さだろう?」
「ずいぶん高い天井だけど床から何ミリだろう?」
こうしてたくさん実測することで、自分の感覚にどんどん寸法が与えられます。そして「もう200ミリ大きな窓だったら、もっと部屋が広く感じるかも?」など、気づいたその感覚を寸法に換算して、設計に活かすことができます。

3日目は、「人体寸法と心理的距離」の実測です。
むかしから「立って半畳、寝て一畳」と言いますが、僕のように身長が181センチもあると「寝て一畳」は小さく、2メートルは欲しいところです。ちょうどよくないのです。
学生さんは二人一組になって交互にお互いの色々な姿勢の寸法を測っていきます。測ったらそれをヒントに1/20の縮尺で人体をスケッチし、寸法線を引きます。横向きに寝転がると頭の高さは何ミリになるのか?自分の設計では、利用者はどんな姿勢をとり、そこに必要な寸法はいくつなのか?
また、心理的な距離も測って見ました。「会話するための距離」は、立っているとき、座っているとき、男女になるとどうなるのか。平均値を取りながら、ちょうどよい距離を探ります。

最後は学内のいろんな「段」を測ります。どの階段が心地よく上り下りできる?靴を履いているときと、脱いだ時では感じ方はどう違う?

意外なところに「ちょうどよさ」を発見。来週の設計コンペに活かすことができるでしょうか?

空間を再認識することで、みなさんの中に「ちょうどいいものをつくるための定規」が生まれたと思います。その定規、どんどん増やしていきましょう!

 

松井匠(木造建築 講師)