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2019年11月15日(金)

実践プロジェクト N邸 上棟!!

学生が関わって進めている実践プロジェクトN邸がついに上棟しました。3年がかりの大プロジェクトです。

2017年頃には、「木造建築計画の応用」の授業の一環で、打ち合わせにも同席させて頂いたり、今年には「設計監理」の授業で木材の品質を確認したりと関わってきました。

いい天気のなか、大工さんが建て方を進めています。さすがプロフェッショナル。みんなが、自分の仕事をしっかり理解し、急ぎ過ぎず丁寧に素早く順調に現場が動きます。

学生自身も自力建設の経験を踏まえて、この職人さんの動きを見ていました。

とてもきれいな杉の構造材。野地板も美しいです。ですが重要なのは他にもあります。竣工すると目に見えない性能を担保する納まりです。

工事の合間にしか確認できないことを設計監理として、設計者がきちんとチェックします。

授業で学んでいる細かな納まりもいろいろ見て、なるほど。こうなるか!と経験値に含めていきます。

屋根の野地合板は気密テープで気密性能を高めます。この合板で防湿層も兼ねてます。その上にウッドファイバーを無厚く敷いて屋根の断熱を確保します。

さらに、3次防水層(3段階目の防水層)となるタイベックを敷き、ここにも2層目の気密テープ張り(気密も2重に確保します)。その上に通気層となる垂木を固定していきます。ここでも几帳面にビスの種類やピッチを叱り確認しながら打ち込まれてます。

この上に野地板、2次防水層、瓦屋根と仕上がる予定です。隠れてしまう部分は数十年メンテナンスができない箇所。最も大切な工程です。

構造躯体を緊結するためのボルトも入りますが、金属は熱を伝えやすい素材。木材に入ってしまう部分は温度変化が少ないですが、座掘り(金物を固定している木材の穴)は金属が冷えて結露する可能性があります。しっかり断熱材を充填してこれらを防ぎます。

曇りのそらから晴れ間がのぞくと、当初設計通りに光が差し込んできました。気持ちいい空間になりそうな予感です。竣工まで半年、まだまだ難所が続きます。折を見て学生も現場で学ばせていただきたいと思います。

帰りは、近くにあるラ・コリーナへ。純粋な木造建築ではないですが、特徴的で木の魅力を引き出した空間の数々。コンベックスで寸法を測りつつ、納まろの勉強を進めました。

笹の葉が切れるところまでしか見えない絶妙な高さの決め方。丸太の柔らかな素材感。野地板のざらざらした仕上がり。木の魅力の表現方法の豊かさを確認できます。

アカデミー18期生の森のいちだんらくでも施工した焼杉板もそこかしこに見れて、木材の扱いの可能性をいろいろ見ることができました。

 

木造建築専攻 辻充孝