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2021年10月11日(月)

morinosエネルギーの用途分解(morinos建築秘話68)

前回、前々回とエネルギーを概観し、エネルギー消費量の削減実績を見てきました。

エネルギー消費量の実測(morinos建築秘話66)
エネルギー73%削減 morinosの実績(morinos建築秘話67)

1年間のエネルギー消費量が電気を使用して44.94 GJということはわかっていますが、暖房にどのくらい、冷房にどのくらいといった内訳がわかりません。

今回はエネルギーの用途毎の内訳を季節や時間の変動から推計していきます。
この作業を用途分解と呼びます。

エネルギー消費の季節ごとの変化分析

再び365日の1日ごとの変化を見てみます。(下記)
いろいろな気づきがありますよね。

夏や冬に電力が増えており冷房や暖房エネルギーが発生しているとか、1月前半(正月)は、誰も使用していない無人の状態のため、電力消費は少ないながらも一定に発生しているとか・・・

これらのヒントからエネルギーを用途毎に分解します。

日ごとの変化を見ながら、私の方で確認ポイントを書き込んだ図を下図に示します。

換気エネルギー、セキュリティのエネルギー

まず着目するのは、誰も使用していないはずの正月に発生している少ない電力消費です。(グレーの吹き出し)
建物を使用していないはずなのに電力消費があるということは、365日常に稼働している設備があるということです。具体的には、換気装置とセキュリティ設備です。
つまり年間通して毎日31.82 MJのエネルギーを消費しています。

照明エネルギー、その他エネルギー

次に、換気と同じく、年間通して使用するのが照明やOA機器などのその他エネルギーです。(緑の吹き出し)
暖房や冷房を使用していない月を参考にどのくらい使用しているか推計します。

暖房エネルギー、冷房エネルギー

最後に、冬期の暖房と夏期の冷房です。(青い吹き出し)冬と夏に突出しているエネルギーが暖房と冷房のエネルギーとして使われているわけです。

どのように推計していったかは最後に書いたmorinosマニアックを参照してください。

morinosの用途別エネルギー

用途分解を行った結果、morinosの用途毎のエネルギー消費量の推計ができました。

まずは、月ごとの変化を確認します。

セキュリティ(薄グレー)とOA機器等(濃いグレー)が比較的大きな割合を占めています。
これらは、活動を安全に円滑にするために必要なエネルギーですので、仕方がないところです。

夏期に目立つのはやはり冷房エネルギー(青)です。今年(2021年)の夏は暑かったのでしかたないところでしょうか。先月、外構の芝が植えられ、来年度は多少冷房負荷が下がることが期待できますので、どう変化するか楽しみです。

冬期の暖房エネルギー(赤)はそれほど大きくありません。やはり日射熱の活用と薪ストーブが効果を発揮しているようです。

照明エネルギー(黄)や換気エネルギー(水色)はそれほど大きくはありませんね。

では、年間通して、設計値や標準値と比較するとどのような感じでしょうか。前回の建築秘話のグラフの電気を用途毎に置き換えてみます。

全体的に少なく運用できているのがわかります。特に標準値の75%を占める空調(暖房+冷房)エネルギーが、morinosでは圧倒的に少なくなっています。これは、建物性能(断熱や日射熱制御)に加え、運用が効果を発揮しているのでしょう。

こうなってくると、その他エネルギー(グレー)なども気になってきますね。

准教授 辻充孝

morinos建築秘話の全話はHPから見れます。

morinosマニアック----------------------

morinosの用途分解

実測データからは、電気の使用量しかわかりませんが、これを暖房や冷房、照明などの用途毎に分解していきます。
用途分解に決まった方法はありませんが、予測しやすいところ、わかっているところから少しづつ進めるのがコツです。

① 正月の完全休館日のエネルギー消費量31.82 MJ/日より、換気とセキュリティのエネルギーを想定します。
1年間であれば、31.82 MJ/日×365日=11,614 MJです。月ごとにも算出します。

② ①のエネルギーを換気とセキュリティに分離します。
morinosの換気扇は24時間稼働しています。機種はFY-16PDEDで60Hzでは14Wで稼働します。
そのため、1年間の電力消費は、14W×24h×365日=122.64kWhです。
1次エネルギーに換算すると、122.64kWh×9.76MJ/kWh=1,197 MJです。
①から換気分を引くとセキュリティ分も求まります。

換気エネルギー:1,197 MJ
セキュリティエネルギー:10,417 MJ

③ 次に暖冷房を使用していない月を5、6、9,10月と想定し、これらの月のエネルギーから①(換気+セキュリティ)を引いた値が、照明とその他エネルギーと想定できます。

④ さらに、③の4カ月の照明+その他エネルギーの平均をとるとちょうど2,000 MJになり、1月~4月、11月~12月から①と2,000MJを除くと、冬期の残った分が暖房エネルギー、夏期の残った分が冷房エネルギーと推計できます。

暖房エネルギー:5,170 MJ
冷房エネルギー:4,156 MJ

⑤ ③の照明とその他を分離していきます。5、6、9,10月の照明を使用しそうな夕方から夜間(17時~8時)の電力を除くと、6.30 MJ/hになり、日中のその他エネルギーの見込みが立ちます。1日で8時間その他エネルギーを運用していると想定すると、50.4 MJ/日となり各月の日数を掛け合わせると、月々のその他エネルギーが求まります。それを、2,000 MJから差し引くと照明エネルギーを推計できます。

照明エネルギー:5,691 MJ
その他エネルギー:18,306 MJ

これで、使用した電気エネルギーを用途毎に分解できました。

高価なBEMS[Building and Energy Management System](ベムス)を設置すると、用途毎に常時モニターすることもできますが、光熱費明細からもこのように概ね推計できます。

 


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