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2021年07月11日(日)

千年先の里山へ「森林獣害の基礎」

「1,000年経っても変わらない風景を残す」ことを目指している美濃加茂市へ

獣害対策についての視察へ行きました

 

その際の様子を再び学生がブログ記事としてまとめてくれましたよ~

 

 

クリエーター科、林業専攻の海野です。

 

今回の実習は、先週のシカによる森林被害とは異なり、人後に近い里山での獣害がテーマでした。

そこで、多発するイノシシ等による農作物の被害対策に取り組んでいる美濃加茂市 農林課 里山再生係 担当の三輪さん・藤吉哲平さんから美濃加茂市の獣害の状況と取り組みについてお話を伺いました。

美濃加茂市の担当者からの説明

同市では、循環した里山を維持継続できるよう、野生動物を捕獲する事業、里山を再生する事業を行っています。【里山千年構想】

 

野生動物の捕獲事業では、担い手不足の対策として狩猟免許取得者に補助(取得費用の負担ゼロ)を行っているそうです。また、防除柵の設置、ICTわなの活用を通して野生動物の捕獲を行っています。(こちらは、フィールドにて実物を見させていただきましたので、下で詳しく説明します!)

 

里山を再生する事業では、令和元年度に、83.4ヘクタールの里山を整備しています。山と人里の境目を整備し、動物が人目につかず、隠れられる茂みを作らないようにすることで、動物たちが人里に近づきにくくします。この地帯をバッファーゾーンというそうです。

このような防除と捕獲、里山整備の努力の結果、平成25年には、5516万円の被害が、令和元年には、2172万円までに減少したのです!

 

 

▶いざ、獣害対策のフィールドへ

フィールドでは、市役所職員兼 猟友会 有害捕獲部会 会長の横家さんから説明をしていただきました

囲い罠

まず初めに見せていただいたのは大きな【囲い罠】

この罠には、200キロのイノシシがかかったことがあるのだとか!

 

この囲い罠には「Web AIゲートかぞえもんAir」という捕獲装置が設置されています。端末と入り口にセットされたセンサーが連動しており、捕まえたい頭数を端末で設定しておくと、設定した頭数以上の獲物がわなに侵入した後、最適なタイミングで自動捕獲をしてくれるハイテクな装置なのです。

 

 

 

次は【ほかパト】という機械で、罠に設置しておき、罠が作動すると、持ち主にメールで連絡がくるという、こちらもハイテクな装置です。

罠を設置すると、毎日見廻りしないといけないのがとても大変。これらのICTを活用した罠があれば、見回りのコストや労力を削減でき、捕獲のハードルが下がります。このような最先端の機器を導入することで、コストを減らし効率的に捕獲事業を行うことができます。

 

▶お昼は美濃加茂市伊深地区にある「いぶカフェ」へ

昭和の初めに建築された国登録有形文化財である旧伊深村役場を改装したオシャレなカフェです。

こちらの「いぶカフェ」、地元の猟友会の方が経営しているジビエ料理のお店なのです。

 

「シカやイノシシをただ駆除するのではなく、美味しくいただき、生かす。」

 

お昼をいただきながら、「命を無駄にしないよう、どのように活用させていただくのか」について、それぞれが思いを馳せました。

 

いただいたメニューのご紹介。

ロースト鹿丼 (鹿のスペアリブ付き)

ロースト鹿

お肉は、柔らく、ジューシー&脂分が少なくとってもヘルシー。

ジビエ=くさいというイメージを払拭したい方、是非召し上がっていただきたい一皿です。

 

こちらは、鹿肉のタコライス。

ピリ辛ですが、言われなければシカと気づかない自然な味付け。野菜やドレッシングとも相性が良く、付け合わせのスペアリブも絶品です。

みなさんも、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

 

▶防除柵と緩衝帯整備の事例 三和地区へ

 

三和地区での獣害対策に取り組まれている農事組合法人「みわほたる」代表理事の朝日さんを訪ねました。

人里への野生動物の侵入を防ぐ目的で、地域住民によって、里と山の境目に、防除柵をつける対策がなされています。美濃加茂市では、毎年2000メートルずつの柵が設置されています。

今回訪ねた、三和地区では、昨年度、1500メートルもの保護柵を約20人の地域住民の方とともに設置したそうです。その現場を見せていただきました。

アルミ素材の杭と鋼鉄が編み込まれたメッシュの網は県と市の補助で賄われます。ところが、施工は地域の人が主体となり実施する必要があります。杭を打ち込むのは重労働。また、ネットには鋼鉄が編み込まれているため、カットするにも一苦労だそうです。

施工しても、こんな風に野生動物に破られてしまうこともあるのだとか。

この網を破ってしまったのは学生のオグリさん。…ではなく、ニホンジカ。力強さを感じさせます。

 

こちらの場所では、下草が繁茂しています。土砂や、倒木によって、柵が倒れてしまうことも。

「何事も、立てるのは簡単。大切なのは、維持管理ができること」と朝日さんは話します。

維持管理の負担が少しでも減るように、設置場所、方法を工夫しておられます。

 

美濃加茂市では、三和地区の朝日さんや地域住民の方の尽力もあり、防除柵の設置が進んでいますが、高齢化が進み、このような大掛かりな柵を付けるのが難しい地域も多くあります。

「地域住民の手で」を目標にしている獣害対策。里山の高齢化も課題の一つですね。

フィールドの視察を終え、山際に綺麗に設置された防除柵を横目に、のどかな里山を後にしました。

 

さて、今回の獣害の基礎では、美濃加茂市の対策を知ることで、野生動物の生態を理解し、人間と動物との棲み分けを考え対策を進めることや、地域の未来を真剣に考え、地地域住民、行政、地元の猟友会がともに知恵を出し合い、地域ぐるみで獣害対策を行うことが、獣害対策においてキーポイントになるということを学びました。

 

「もし自分が大事に育てている農作物が、野生動物に荒らされてしまったら…」と思うと、恨みの気持ちの一つも生まれてきそう気がしますが、

野生動物も、人間も、同じ生き物で、一つの命として対峙し、日々奮闘している里山の人々。その姿から色々な立場で、色々な見方で自然の中で暮らす動物たちと向き合って行けたらと思う学生たちなのでした。

 

今回の実習にご協力いただきました美濃加茂市農林課の藤吉さん、横家さん、三輪さん、農事組合法人「みわほたる」代表理事朝日さんに心よりお礼申し上げます。「地域の課題をなんとかしたい!」と大切な地元のために奮闘する皆さんの姿は、卒業後の私たちの模範となりした。

 

 

以上、報告でした。

 

過去の実習の様子

相手を知る事が対策の第1歩!「森林獣害の基礎」

下刈りしてないんです・・・「森林獣害の基礎」

 

担当・編集:新津裕(ユタ)

撮影:森一九


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