活動報告
2018年12月11日(火)

再生できる設計者?「古民家の再生」

世の中には「古民家再生」という言い方がありますが、これ、「リフォーム」と意味が違うのでしょうか?何か「再生」の方が偉そうというか、文化度が高いような印象を受けますね。「再生」はえらいのでしょうか。

まず建築における「再生」と「リフォーム」には、“既に建っている家や部屋を改修して、使えるようにする”という同じ意味があり、「再生」はそれに加えて「元の状態に近づける」という意味合いが込められています。

元の状態?古民家といっても既に何度か改修されている家がほとんどです。古民家って、元はどうつくられていたのでしょう?

森林文化アカデミー「古民家の再生」の授業では、次の3つを目標に実習を行なっています。
・古民家が、最近の家と違う方法でつくられていることを理解する
・古民家から、木造建築の架構や寸法の基本を学ぶ
・ひとつひとつの古民家のポテンシャルを発見する審美眼を身につける

 

授業の内容はこうです。
まず、日本の古民家が、今の建物とどう違うのかを講義で学びます。
地震に対する考え方の違い、柱と梁を見せているかそうでないか、
構造・架構を軸に、順を追って見て行くと、かなり違うのです!

新装備「360度全天球カメラ」の画像。これで撮り残しなし!

 

さて古民家と最近の家の違いがなんとなーくわかったら、あとは実際に古民家に赴きます。
幸い岐阜県には、良質な古民家がたくさんあります。今回は美濃市の隣の郡上市八幡町で、空き家になった古民家をフィールドにさせてもらいました。

ここからは実習です。「実測野帳」を採って行きます。実測に次ぐ実測、ひたすら実測します。

とにかく目で見て、手で描いて、実際に測って、野帳に採ります。
今回はA2の方眼紙に1人につき3から5枚ずつ描けました。慣れてくると描写も早くなります。

この作業、実はとても貴重でリッチな時間なのです。
良い古民家をこんなにじっくりと観察する機会は、実務でもなかなか無いんです。
床、壁、天井がどうつながっていて、どう支えられていて、どう見えるように考えられているか。
建具の縦桟と横桟はどっちが勝っているのか。

民家は職人の知恵と工夫と美意識が、非常に「合理的に」詰まっています。

これは「根太天井」。古民家に行くとよく見ることができますが、最近の新築は構造材が見えていることは稀です。

小屋裏部屋は骨組みがよくわかります。
この「骨組みが見える」というのが重要なのです。
だって壁の中に隠れていたら、どうつくられているのか、わからないでしょう?

古民家は、骨組みのつくり方、特に接合部が、現代の建物と違います。
日本の古民家が持つ独特の雰囲気は、あらわしになっている架構と接合部が肝なのです。
古民家のつくりを学んでから現代の技術に応用することは可能ですが、現代の建物しか見ていないと「古民家の再生」はできません。

クリエーター科の3人でどっさり野帳が採れました。大漁です。
寸法を細かく追うことで、木造建築の基本的な部材の大きさを身につけることができます。

成果品の実測図を並べると、三日しか過ごしていない建物に、なんだか愛着が湧いてきます。
大切に再生したいですね。再生できる設計者になりましょう。

 

木造建築教員:松井匠

 


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