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2017年05月30日(火)

「住まいを診断する」近江八幡の古民家調査

この日は、滋賀県近江八幡にある古民家の調査に行ってきました。

森林文化アカデミーには「木造建築病理学」という授業があります。
木の建築を「診断」するスキル、簡単にいうと、木造建築のお医者さんになるためのカリキュラムです。

既存の建物を見て、その状態を正確に「診断」できれば、どこをどう直すべきか、改修を計画できます。

この調査・診断を行う全国組織が「一般社団法人住宅医協会」です。
「木造建築病理学」も「住宅医」も森林文化アカデミーの元教授でもある三澤文子先生がはじめた活動です。
建物を、つくっては壊す時代から、長く大切に使う時代に変わっていく中で、住宅の診断技術は、これからの建築実務者に必須のスキルです。

今回はこの「住宅医」による調査に、クリエーター科建築専攻の二年生と有志で参加しました。

5月の気持ち良い陽気の下、各地から集った調査員が一堂に会します。
大阪、岐阜、長野、滋賀から集まった建築実務者に混じって、アカデミーのメンバーも作業開始です。

建物は、築100年は経った平屋の住宅と、蔵が二つ、それに茶室です。二人一組で役割分担しながら進めます。
わたしは開口部と設備の調査・採寸担当でしたが、趣向を凝らした丁寧なつくりに感嘆しながら実測しました。


事前に大まかな図面と、実測した寸法を書き入れる表、チェック項目が記載されたプリントが配られ、それにどんどん記入していくと、しっかり調査できるようになっています。


お昼ご飯を食べた後は、各班から状況の報告が行われ、時間が足りなそうな班には、メンバーの再振り分けをします。
なんという手際と段取りの良さ!

蔵の実測も順調。


クリエーター科の玉置くんは、床下に潜るという大役を見事にやり遂げました。
大変だったね。お疲れ様です。山あいの民家など床下は、地面が水浸しでぬかるんでいることもあるので、今回はまだ調査しやすい方だったと思います。

この日の調査データをまとめた「住まいの診断レポート」が後日送られてきます。
大人数と見事な作業効率により、たった1日で膨大な量の情報が手に入ったと思いますが、これがどうまとめられレポートになるのか、とても楽しみです。みなさんお疲れ様でした!

松井匠(木造建築 講師)