活動報告
2019年04月13日(土)

【木造建築】ドイツ・韓国国際連携報告会

アカデミーの木造建築専攻では、海外と連携して両国の木材利用や、あたらしい建築を探っています。
今回はドイツと韓国との国際交流の様子について報告会が行われました。

まずはドイツ。今年二月に行われたロッテンブルク林業大学で行われた「木造建築共同設計ワークショップ」について。
ドイツでの様子は以前当サイトのブ記事でもUPしてますが、今回は牧原くんと伊藤さんが、自分たちの経験を自分の思いでまとめて発表してくれました。

牧原くんは「KAMPA K8」という地上7階地下1階の「木造ビル」から、ドイツの目指す”持続可能な工業化”を紐解いていきました。
集成材とCLTパネルを限界まで工場で加工し、一気に建てて基礎工事から半年で竣工したというKAMPA K8。工期を短縮しコストカットするのは珍しいことではありませんが、KAMPAはU値0.1W/㎡Kという超高断熱と太陽光発電によって全電力を賄うという高性能です。設計は、単純な四角いモジュールを繰り返して積み上げ、間仕切りはいつでも変更できるようにフレキシブルにしています。規格材でモジュールをつくることが、使用材木量は抑えています。
建設業界では、こうした工業化は目先のイニシャルコストを減らすことに終始してまいがちですが、KAMPAは「建物のライフサイクル」つまりランニングコストと、「ドイツ全体の森林資源」持続可能な建築かどうかをきちんと設計思想に入れています。これが持続可能社会を目指すドイツ木造建築の一つの回答というわけです。

KAMPA K8はプレハブ住宅メーカー。コストカットは顧客とのやりとりにも及び、なんと三日間泊まり込みの1回で打ち合わせを終わらせるというもの。牧原くんはそこから「建物を買う」のではなく「建物を建てる」ことの面白さや大切さを語りました。KAMPAとアカデミー自力建設の長所をかけわせた「ハイテクだけどローテク」という感覚を大切にしたいと結びました。

続いて伊藤さんは、ロッテンブルク林業大学で行われたワークショップの様子を詳細に発表してくれました。
開始早々に立ちはだかる言葉の壁をドイツ人学生の親切さと根気強く優しい解説のおかげで乗り切り、経験したことのない大規模設計の課題を一年間実践してきたアカデミーの学びから解決に導いたその様子を、自分の言葉でわかりやすく話してくれました。

とくに、与えられた課題をどのように設計に落とし込んでいくか実現していくかを図説したスライドは、設計や創作活動する人にとって重要なプロセスをわかりやすく表現できていました。

また最後の版に、ドイツ人学生のヨハネスくんの家「ストローベイルハウス(藁の家)」でおもてなしを受けた話もありました。ヨハネスくんの環境意識の高さと、自分の好きなことを繋いで暮らしを実現している自由さが伝わってくる発表でした。最後は正直な気持ちで今回の渡独全体をまとめてくれました。

2人とも、2人にしかできない、とてもいい発表だったと思います。

続いては小原先生による韓国連携の報告です。
小原先生はここ数年、韓国の企業や木造建築技術協会との交流を通して、日本の耐震技術と岐阜県の材木の良さを伝えています。

・韓国では2×4が主流
耐震性能がまだまだ低く、震度4でも甚大な被害がでる
オンドルを二階床に設置することで荷重が増し、構造的に不利になる場合がある
構造計算を義務化したところ、韓国内の木造建築の着工がストップしてしまった

こうした課題を踏まえて、小原先生は、
構造計算ソフトを小原先生が開発し、韓国版にして提供
・製材された梁を使うときに指針となる「スパン表」を提供
・韓国の伝統的な構法「韓屋」と日本の軸組工法は似ている(ルーツが同じなので)ので、日本の良質な材木を使った耐震的な軸組工法を、技術とセットで普及できるような仕組みづくりを進める

と、問題解決に奔走している様子を報告してくださいました。学生と共に韓国での学会発表や建築展に出展した様子も。

報告会はアカデミーの学生さんを中心に、マスコミ関係者、行政など様々な方々に聴講いただき、盛況のうちに幕を下ろしました。
こうした海外連携は新しいことの連続で、とてもたのしく、実りのあるものです。これからも、日本の木造建築を世界に発信し、各国との交流をきっかけにした新しい木造建築を模索し、そのプロセスを学生の学びにしていきたいと思います。

 

木造建築教員:松井匠


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