ドイツフォレスターの野生動物管理④
4日目は午前と午後でブログの担当者を下記のように分けさせていただきます。
午前:猟犬の訓練見学と射撃シミュレーターの体験 (担当:長)
午後:シューンブッフ自然公園と食肉処理場の見学(担当:田中)
ドイツ野生動物視察研修4日目(午前)
4日目の午前はクリエーター科1年の長航介が担当させていただきます。午前中はバイムグラーベン先生の愛犬(キウィとマンゴー)の猟犬のための訓練を見学しました。訓練場所はロッテンブルグ大学の演習林内です。今回の研修の中でも、特に強い衝撃を受けたのが、ドイツでは「猟犬そのもの」に資格が与えられているという事実でした。猟犬は、猟に連れて行けるかどうかを個人の判断で決める存在ではなく、法律と制度の中で明確に位置づけられた存在です。
ドイツでは、猟法や対象となる動物によって、使用できる猟犬の条件が細かく定められています。猟犬の資格は一種類ではなく、犬種や役割ごとに複数の試験があり、段階的に取得していく仕組みになっています。特に印象的だったのは、ノロジカなどを撃って半矢(負傷の意)させた場合、最後まで捕獲することが法律で義務づけられており、その追跡には試験に合格した猟犬しか使用できない点です。この犬に何ができ、何をさせてよいのかが制度として明確だからこそ、周囲の人間も安心して猟犬に仕事を任せられるのだと感じました。
今回見学したキウィとマンゴーは、ドイチャー・ヴァハテルフント(ジャーマン・スパニエル)という犬種です。この犬種は主に巻狩りで獲物を動かす役割を担いますが、追跡能力も高く、取得する試験の内容によって複数の役割を果たすことができます。猟犬の試験には、①若齢期に行われる性格や素質を見る試験と、その後に行われる②より実践的な試験があり、犬の成長段階に応じて評価されていきます。猟犬としての適性がないと判断された場合は、次の試験に進まないこともあると聞きました。
訓練を受けていたマンゴーは生後8ヶ月とまだ若いためか、興味関心が強く、やや興奮しやすい様子も見られました。リードを引いていたバイムグラーベン先生は、常にマンゴーの動きを注意深く観察し、誤った行動があればすぐに声で修正し、正しい行動はしっかりと褒めていました。その一つ一つのやり取りから、犬との深い信頼関係を感じました。猟犬をどう育て、どの資格を取得させるかは、ハンター自身の資質としても評価されるといいます。
日本では、猟犬そのものに公的な資格が与えられている制度はありません。そのため、「犬が資格を持たなければ猟に連れ出せない」という考え方は非常に驚きでした。ドイツの猟犬は、狩猟を助ける存在ではなく、ハンターと同じ現場に立ち、責任を分かち合うパートナーでした。犬と真剣に向き合い、その力を信じて育てること自体が、ハンターにとっての誇りなのだと感じました。
また、猟犬の訓練の合間には、ロッテンブルグ大学内に設置された「シムウェイ」と呼ばれる射撃シミュレーターを体験させていただきました。モデルライフルは持ち続けるだけでも重く、銃口の動きが正確に反映されるため、ブレずに狙い続けることの難しさを実感しました。実弾での訓練には場所や費用の制約がありますが、このような高度なシミュレーターを用いて技術を磨ける環境が大学内に整っていることにも驚かされました。
クリエーター1年 長航介
あとがき
我々は日本での狩猟犬に対する知識がないので、もしかしたら行われているのかもしれませんが、1つ1つの鳴き声にも意味があり①匂いをみつけた!②足跡などの痕跡を見つけた!③大きなイノシシだった場合「助けて!」更に、獣に応じて泣き方を変えているとのこと。その為ハンターは狩猟犬の鳴き声を注意深く聞いているのです。その話を聞き、過去2日にわたり参加した巻き狩りでの解像度がさらに高まりました。
過去の活用報告
・1日目
・2日目
・3日目
報告:引率教員 新津裕(YUTA)







