林業事例調査2026(1日目:若杉天然林)
林業専攻では「林業事例調査」という授業が有り、毎年、林業専攻の教員・学生で、各地の森林や森林組合、林業事業体などを訪問しています。2026年は、岡山県を事例地とし、7/20より2泊3日の日程で事例調査を実施しました。今回は、初日に訪問した、若杉天然林について報告します。
若杉天然林は、若杉原生林とも呼ばれ、岡山県西粟倉村の北端に位置する、中間温帯〜冷温帯の森林です。83ヘクタールの面積に、ブナ、ミズナラ、トチノキ、スギなどをはじめ199種類の樹木が生育する中国地方でも有数の天然林で、「氷ノ山後山那岐山国定公園」の特別保護地区に指定されています。
当日は、3連休の最終日ということで、高速道路の渋滞を心配していましたが、予定より30分早い13:30頃、現地に到着。散策口の案内板で、本日の散策コースを確認します。今回は、案内板の主に白いコース、駐車場から、第1分岐点→第3分岐点→第2分岐点とまわる3kmのコースを目標に出発しました。

散策の途中、コース脇に突如、シカ柵が現れました。

柵近くには内容が書かれたプレートがあり、近年、シカの食害により、ブナやミズナラの更新が出来なくなっているそうで、柵は植物を保護するためのものでした。散策路を歩いていても林床のチシマザサにまでシカによる食痕や、その影響である衰退の様子が見られました。
散策コースの多くは川沿いの遊歩道で、サワグルミなど渓畔林を構成する樹種が見られました。サワグルミの種子は、主に風と水の流れで運ばれ、洪水や崩壊など撹乱が起こって明るくなった場所でいち早く更新する樹木です。人工林では沢沿いにスギが植栽されることがありますが、自生のスギは沢から少し離れたところで生育する場合が多い、と大洞先生より詳しく説明いただき、教員・学生ともに真剣に聞き入っていました。

スギは日本の樹種の中でも、最も多く植栽され、普通に見られる樹種ですが天然林としては多くなそうです。普段、単一的な人工林としてよく目にしますが、広葉樹の大木と一緒に並んでいる風景に珍しさを感じました。

ミズナラの大木と天然スギ
散策コースは全体的になだらかですが、一部急な所もあり、各々のペースで歩きつつも、離れすぎないように気をつけます。

林内では、カシノナガキクイムシの被害を受けたミズナラが見られました。カシノナガキクイムシはナラ枯れを引き起こす、ナラ菌を媒介する昆虫です。林内では、幹をシートで覆い、虫の脱出・被害拡大を防ぐ対策が取られていました。


当初、3kmの周回コースを予定していましたが、熱心に植物観察するあまり時間が押し、第3分岐手前で引き返します。
復路も転倒に気をつけゆっくりと進みます。散策口近くまで戻り、開けたところで少し休憩、後続を待ちます。

予定通り16時半、全員無事に散策口に戻りました。散策口で、記念の集合写真を撮り、その後、宿泊地の那岐町へ向かいました。

以上、若杉天然林の報告でした。
林業専攻2年 毛利 剛
〜観察できた樹木〜
カラマツ、スギ、チャボガヤ、タムシバ、ホオノキ、マンサク、ヤマブドウ
ナナカマド、オヒョウ、ブナ、ミズナラ、サワグルミ、ミズメ、クマシデ
ツノハシバミ、コマユミ、ツリバナ、ツタウルシ、ヤマウルシ、ヤマハゼ、ヌルデ
イロハモミジ、オオイタヤメイゲツ、ウリハダカエデ、コミネカエデ
アサノハカエデ、トチノキ、シナノキ、ヤマボウシ、ツルアジサイ、ノリウツギ
ナツツバキ、サワフタギ、ハクウンボク、コハクウンボク、サルナシ、リョウブ
アオダモ、イヌツゲ、ヤブデマリ、オオカメノキ、ゴマギ、タニウツギ、コシアブラ
ハリギリ