地域とつながる資源活用:Cr森林空間利用実習①
森と木のクリエーター科向けの科目「森林空間利用実習①」2日目の報告です
初日はコチラを参照ください
「ふもとっぱら」は2026年から法人化し、林業とキャンプ場の複合的な経営が始まりました。そして2011年にはそれらが評価され農林水産祭の天皇杯(農林部門)を受賞されています。実は私(YUTA)も10年近く前に3年ほど所属していました。当時3万人の集客がある林業事業体として注目を集めていましたが、今では25万人もの人が訪れるそうです。
2日目は森林資源等の活用について紹介していただきました
700ha程の森林を管理しているふもとっぱらでは間伐や小規模皆伐を行い木材生産を行いますが、現在の木材流通では建築用材や合板材以外のモノはチップやパルプとして用材よりは安価に取引されます。ところが、ふもとっぱらではそれらの有効な活用を実現しています。
一般的に木材取引の中で価値が低く輸送費などを差し引くと山主にはほとんど手元にお金が残らない木材も、キャンプ場を経営している事で加工するひと手間さえかければキャンプ客には欠かす事の出来ない薪として変身させることが出来ます。海外製の薪生産の機械を導入していますが、その費用も数年で還元できてしまう程の薪の消費量だそうです。そして、この薪生産については地域の雇用創成にもつながっており、林業とキャンプ場と地域がうまく関わっている事例だと感じました。
敷地内には様々な宿泊用のコテージなどの施設がありました。ふもっぱらで伐り出した木材を利用したり地域の鋳造業者に依頼したりと地域の資源を宿泊することで体験してもらう事が出来ます。
この地域はニホンジカの密度も高く、森林の被害も受けていたことから野生動物委の積極的な捕獲を地域の猟友会の方にもお願いしてきましたが、更に捕獲したモノを処分するのではなく、ジビエ解体処理場を敷地内に建造し地域内のシカを資源活用しています。処理場で有償引き取りすることで猟師さんのモチベーションも上がり、獣害対策も成果が出てきます。
ここで引き取られた鹿は人が食べる用・ペットフード用・皮革加工用などとして資源化されます。
2日間を通じて森林や施設などを見せて頂きましたが、竹川さんからはまだ半分もふもとっぱらの全貌を紹介できていないとの事でした!まだまだ奥が深い!
もしかしたら「林業」や「キャンプ場」という言葉でまとめてしまうと視野を狭めてしまうかもしれません。それぞれの地域の有する資源に気づき、時代に合わせて柔軟にすり合わせていく事が「木材価格」「過疎化」「自然欠乏」「獣害」「地域の関係性」「コロナ等の感染症」等の課題と向き合うヒントなのかもしれないなと視察を通じて気づかされました。まさに森林の多面的機能を活かした事業体でした。
ふもとっぱらの竹川大登さん
夏休みシーズンの多忙な中、アカデミーの学生の為に多くの学びの機会を頂き本当にありがとうございました!
報告:新津裕(YUTA)