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2019年12月05日(木)

2019 ドイツ森林環境教育 視察報告その6「公立の森のようちえん」

ドイツといえば森のようちえん。市町村には大抵一つは森のようちえんがあると言われているほどの森のようちえん大国です。今回は、シュトゥットガルトから1時間くらいの場所にあるDettenhausenという町にある公立の森のようちえんを訪ねました。実はこの森のようちえん、10月24日から交換留学生としてアカデミーに来ているローニャ・ダーマさんのお母さんが園長さんです。

朝、子供達がお母さんと一緒に園舎にやってくるとまずは情報交換。スタッフは送りに来たお母さんと素早く話をしながら、子供達の様子や体調、今後の予定などについて確認したり、情報交換をします。この幼稚園、一人ずつの園児の日々の成長を細かく記録するための個人ファイルがあって、それをもとに毎月1回は保護者と話をするんだとか。。ファイルの中にはその子が生まれた時の写真やお母さんからの手紙などたくさんの記録が挟んであります。子供たちが大きくなったら、とっても大切な宝物になりそうです。そんな風に成長を見守ってもらえるなんて幸せですね。

外に行く準備ができたら早速並んで森に出発です。この園では週に1回のクラフト&料理の日(園に1日滞在して畑で採れた野菜を調理したり、クラフトしたりする日)以外は、毎日森に出かけています。

住宅街を抜けて15分ほど歩いた先にはいつもの活動場所である森が広がります。森の中には、ティピ(インディアンのテント)や、皆が集まって座るためのサークル、道具をしまっておくための箱、そして簡単なトイレと焚き火の場所といったものが置いてあるだけで、いわゆる「建造物」はありません。

朝の会をした後は、基本的には自由な遊びの時間。森を駆け回ったり、秘密基地を作ったり、馬ごっこしたり(馬役が飼い主役に手綱をつけられて遊ぶ、ドイツではよく見かける遊び)、ハンモックに揺られたり、木の実で遊んだり。。その光景は、日本の森のようちえんの子どもたちと何も変わらないものでした。国は違っても、子どもたちの中にあるものってそれほど変わらないんもんなんですね。

どちらかというと違いを感じたのは、彼らを見守る森のようちえんのスタッフでしょうか。彼女たちは、森のこと、生き物のこと、木のこと、野外技術や森での遊びのことについて、とてもよく知っていたし、野外で過ごすことにとても慣れているように感じました。そして何よりも森の中では特に大らかで暖かく、そして「ゆとり」があるのが印象的でした。

来年度オープンする森林総合教育センター “morinos” では、日本の森のようちえん指導者のためのスキルアップ講座をどんどんやっていく予定です。いつしかドイツの指導者に負けないくらい「森のことを熟知した森のようちえんスタッフ」がたくさん生まれることを願っています。

なんちゃって先生 萩原ナバ裕作